19世紀末から20世紀初頭にかけての宗主国スペインに対するキューバ独立戦争を背景にしたアクション映画。
マーティン・ラッキンの原作から、彼と「トロイのヘレン」のジョン・ツイストが共同で脚色し、ゴードン・ダグラスが監督した。
撮影はジョン・サイツ。
主演はアラン・ラッド、「トロイのヘレン」のロッサナ・ポデスタ(アメリカでの第1回出演作品)。
共演はロイド・ノーラン、チル・ウィルス、ロイヤル・ダノ、フランク・デ・コヴァ。
ワーナー・カラー映画。
ストーリー
1898年キューバはスペインの圧政に抗して独立運動を起こしていた。
キューバ独立党を相手に武器を売るキャッシュ・アダムス大尉は馬車に武器を積込みフロリダのタンパまで行って取り引きを行うつもりだった。しかしタンパで交渉相手の独立党員は、武器がキューバ独立軍に着いたら代金を支払うと言う。やむなくキャッシュは旧外輪船を利用して、ハイチを通ってキューバに向かう。
この船に他に乗客がいた。キャッシュの商売仇であるクレイだ。彼も仲間を引き連れ荷馬車で乗り込んでいた。もう一人の乗客は、キューバのジャンヌ・ダルクと呼ばれる美女イサベラだった。
ハイチのプリンス港に上陸したキャッシュとクレイは、独立党の領袖マルティと会った。マルティは二人に代金の一部を与えたが、残金はサンチャゴでマセオ将軍が決済すると約束した。
二人は再び船に乗り、遂にキューバの海岸に迫った。イサベラは、男たちに裸になれと命じる。ここからは泳いで渡り、周囲にスペイン兵がいないか監視して陸揚げする必要がある・・・。
雑感
キューバは1902年にアメリカ海軍の支援により、スペインから独立を達成した。この作品は、少し前のキューバ人民がゲリラ戦を行いスペイン正規軍に押されている頃の物語だ。
この映画の脚本は、非常によくあるパターンで、つまらない映画だったが、唯一の見どころは、ロッサナ・ポデスタとアラン・ラッドの絡みだろう。しかし、思ったほどのセクシー・シーンはなかった。
ロッサナ・ポデスタは、藤原紀香のような顔立ちでスタイルも抜群、他のイタリア女優と違って貴婦人として扱われている(このスタイルは、大ヒットした1965年イタリア映画「黄金の七人」でさらに洗練されており、モンキー・パンチ原作「ルパン三世」に登場する峰不二子のモデルになったと言われている)。彼女はソフィア・ローレンとは同じ年で、シルバーノ・マンガーノは4歳上で、ジーナ・ロロブリジータはさらに3歳上である。4人ともハリウッド映画に進出した。イタリア女優のアメリカ志向は戦後の流行だったのだ。
ロッサナ・ポデスタは、戦後ジーナ・ロロブリジータ、シルバーノ・マンガーノに次いで、この作品で全米に進出した。同時期に彼女はアメリカ映画「トロイのヘレン」も撮っているが、これはローマ・チネチッタ・スタジオで撮影している。
アラン・ラッドは、1940年代は男でも惚れるような美形だったが、1950年代に入って有名西部劇に主演したが、アルコール中毒になって顔が酒焼けしてむくれ出した。この作品は西部劇とは言い切れないが、顔が剥れてポチャッとしている。アラン・ラッドの役は北軍の大尉だったが、部下のトラスカー伍長が見張りを失敗して軍法会議に掛けられ、軍を罷免されている。それ以来アル中状態と言う設定で、ロイド・ノーランもアラン・ラッドを指して台詞の中で「飲んだくれ」と呼んでいた。(50)
スタッフ
製作、脚色、原作 マーティン・ラッキン
監督 ゴードン・ダグラス
脚色、原作 ジョン・ツイスト
撮影 ジョン・サイツ
音楽 デイヴィッド・バトルフ
キャスト
キャッシュ・アダムス大尉 アラン・ラッド
イサベラ ロッサナ・ポデスタ
クレイ・パイク(ライバル商人) ロイド・ノーラン
ジョーンズ船長 チル・ウィルス
トラスカー伍長 ポール・フィックス
ディガー L・Q・ジョーンズ
ジンゴ(パイクの右腕) フランク・デ・コヴァ
パブロ ジョージ・J・ルイス
ロボ ロイヤル・ダノ
***
まず、イサベラを先頭にキャッシュ隊とクレイ隊は、泳いで上陸する。キャッシュの一隊はスペイン軍偵察隊を倒し、陸路を確保した。
やがて積荷の陸揚げが行われて、馬車に積み終わると、奥地にあるサンチアゴに向けて出発した。その頃、海辺ではスペインの臨検隊が現れた。船長と船員は火薬の樽に火をつけ敵もろとも船を爆破した。船の噴き出す爆炎を見たキャッシュ=クレイ隊は、さらに奥に進みスペイン軍基地を攻略した。
途中で、斥候から連絡が入り、マセオ将軍がスペイン兵の襲撃で砦を追われて部隊が四方八方に散ったことが分かった。
貪欲なクレイはここでキューバ独立軍を裏切り、武器をスペイン軍に転売すると言い出す。キャッシュは拳銃を取り、クレイと決闘をした。キャッシュが勝った。キャッシュは、代金よりキューバの解放と愛するイサベラのために命を懸けて戦うことを誓う。