(○)殺されても愛する人を守り抜く男を描いた、ファンタジックな恋愛映画。
製作総指揮はスティーヴン・チャールズ・ジャフィ。
ブルース・ジョエル・ルービンの脚本を「裸の銃を持つ男」のジェリー・ザッカーが監督した。撮影はアダム・グリーンバーグ。
主演はパトリック・スウェイジとデミ・ムーア。
共演はウーピー・ゴールドバーグ。
ストーリー
陶芸家のモリーが恋人の銀行員サムにプロポーズした夜に、二人は暴漢に襲われてサムが撃ち殺される。サムの魂は、地上に残りモリーを見守っている。サムは、モリーと親友カールが外出中に、自分を殺した犯人がモリーの部屋に侵入するのを発見し、その後も男をつける。
犯人が地下鉄に乗り込むと、列車に取り憑く地縛霊(サブウェイ・ゴースト)に威嚇される。ようやく地縛霊から逃れ、犯人ウィリーの部屋にたどり着く。
しかし、モリーに犯人を知らせる手立てがない。そのとき、インチキ霊媒師オダ=メイに出会う。オダ=メイは、サムの言葉に気付く。そこでサムは彼女に、モリーとの連絡役を引き受けてもらう。
モリーは、連絡してきたオダ=メイがサムしか知らないはずの事柄を語るので、半信半疑ながらウィリーの住所を彼女から教えてもらう・・・。
雑感
今作品でのウーピー・ゴールドバーグの演技は本当に素晴らしいので、アカデミー助演女優賞を受賞することに何の不満はない。しかし、ブルース・ジョエル・ルービンがアカデミー脚本賞まで受賞するのはどうなのか?そんな優れたファンタジー脚本だと思えない。
1990年のアカデミー賞は、ケビン・コスナー監督主演作「ダンス・オブ・ウルブズ」が主要な賞を独占した年だったので、不作の年だったと言える。この脚本賞を「ゴースト」が受賞すると言うのは、そこまで「ダンス・オブ・ウルブズ」に完全制覇させたくないという反発があったのではないか。
映画「ダーティ・ダンシング」で素晴らしいダンスを披露したパトリック・スウェイジは、この作品で得意のダンスを封印して、演技に集中した。悪くはなかったが、主役が彼でなければならない理由がわからなかった。彼は2009年に膵臓癌で亡くなっている。
デミ・ムーアは、当時女優としてすでに10年選手だったが、最後の抱擁シーンからのラスト・シーケンスを除き、全くの大根役者だった。
ジェリー・ザッカー監督はスラップスティック・コメディ専門だったが、この作品でファンタジーに挑戦し、一発目で当ててしまった。
しかし、CG部分は工夫したら、もうこの時代にはマシな絵に撮れたのではないか。(55)
スタッフ
製作総指揮 スティーヴン・チャールズ・ジャフィ
製作 リサ・ウェインスタイン
監督 ジェリー・ザッカー
脚本 ブルース・ジョエル・ルービン (アカデミー脚本賞受賞)
撮影 アダム・グリーンベルグ
音楽 モーリス・ジャール
主題歌 ライチャス・ブラザーズ「アンチェインド・メロデイ」
キャスト
サム・ウィート パトリック・スウェイジ
モリー・ジェンセン デミ・ムーア
オダ・メイ・ブラウン ウーピー・ゴールドバーグ (アカデミー助演女優賞受賞)
カール・ブルーナー トニー・ゴールドウィン
ウィリー・ロペス リック・アビレス
地下鉄のゴースト ヴィンセント・スキャヴェリ
緊急治療室のゴースト フィル・リーズ
ローザ・サンティアゴ アンジェリカ・エストラーダ
クララ アルメリア・マックィーン
ルイーズ ゲイル・ボグス
巡査部長 スティーヴン・ルート
婦警 ローラ・ドレイク
オーランド オージー・ブラント
オーティーシャ ヴィヴィアン・ボネル
***
モリーは、どうすべきかカールに相談した。カールは、ウィリーの家に向かう。サムは、そこでカールがウィリーと仲間であることを知る。カールは、麻薬密売組織のマネー・ロンダリングに関与していることをサムに気付かれたと思い込み、ウィリーにサムを殺させた。
サムは、カールに復讐する方法を考える。まず、サブウェイ・ゴーストに物を動かす方法を教えてもらう。それは念動力の一種だった。
オダ=メイを使ってカールの秘密口座を解約したことで、カールは絶体絶命になる。カールはようやくサムの霊魂がいることを信じる。カールは、モリーの部屋に行き彼女が部屋を出た隙に、見えないサムに対してモリーの命を助けたければ口座に金を戻せと言う。
オダ=メイがウィリーに襲われるが、サムがポルターガイストを起こして、ウィリーは恐怖のあまり交通事故に巻き込まれて死んでしまう。その瞬間、ウィリーの魂が抜け出すが、近付いた黒い影に拉致され地獄に連れ去られる。
サムとオダ=メイは、モリーを訪ねことの真相を明らかにする。オダ=メイはサムに乗り移らせ、モリーと抱擁させる。その時、カールが、オダ=メイとモリーに襲いかかるが、サムのパンチをまともに受け、カールはガラス窓に突っ込み死んでしまう。カールの魂も抜け出してくるが、すぐ黒い影に連れ去られる。
最後にサムはモリーに愛を告げると、光が満ちてモリーにサムの姿が幽かに見える。サムは安心して成仏し、天国に昇っていった。