1960年代に日本でも人気を集めたスパイドラマ「それ行けスマート」を、映画化したコメディ。
世界支配を企む国際犯罪組織「カオス」を相手に、新人スパイが悪戦苦闘する。
監督は、ピーター・シーガル。脚本はトム・J・アッスル、マット・エンバーが担当。
主演はスティーブ・カレル、相手役アン・ハサウェイ。
共演はドウェイン・ジョンソン、アラン・アーキン、テレンス・スタンプ、ジェームズ・カーン。
あらすじ
マックスは、アメリカの諜報機関コントロールで分析官として働く。彼は現場エージェントになるため、昇進試験を8回受けて合格したが、チーフは敢えてデスクワークを続けさせる。
外出したマックスが戻ると、コントロール本部は襲撃されて、凄い美女が襲ってくる。その美女を落ち着かせると、彼女は顔を整形したエージェント99だった。
本部に対するテロ攻撃は、すでに滅びたと思われている犯罪集団カオスが実行したようだ。彼らは我々の内部情報に通じているのか、コントロールのエージェントを次々と暗殺したため、人材不足となり、マックスはエージェント86(仮)として起用される。ロシアにいるクリスティックが、カオスに兵器を提供しているらしい。マックスは、エージェント99とロシアへ向かう。
マックスと99はカオスの工作員を尾行し、クリスティックのパーティー会場に潜入する。マックスと99は離れに潜入する。二人はパソコンのデータにアクセスして、モスクワのパン屋が疑わしいと知る。そして協力してクリスティックを殺害し、モスクワへ向かう。
無線機を身に付けたマックスと99は、別々にパン工場に向かう。マックスは工場内部でウランを発見し、工場のあちこちに爆弾を仕掛ける。
マックスと99は合流するが、巨漢ダリープに追い詰められる。高い殺人技術を持つ99は、ダリープにあっさり倒される。マックスは格闘技では敵わないと知り、プロフィールを読み込んで悩みを知っているダリープの人生相談に乗った。マックスに心を許したダリープは一人で戦線を離脱し、マックスと99も工場から脱出する。工場は大爆発し、ウランは地下深くに沈んだ。
エージェント23がパン工場の後始末に来たが、チーフに工場に核製造設備はなかったと報告する。99も自分の目で確かめたわけではなかった。マックスは二重スパイと認定されて逮捕される・・・。
雑感
この手のスパイ・コメディは最近面白くなくなった。例えば、ミスター・ビーンのローワン・アトキンソンがスパイをやっても面白くない。
60年代の代表的スパイ・コメディ「それ行けスマート」(原題は”Get Smart”)は大ヒットした。その後1980年に一度だけ映画「0086笑いの番号」というタイトルでオリジナルのドン・アダムスが主演したが、すでにその時笑えなくなっていた。相方がシルビア・クリステルなのに脱がないのだ。
それからさらに28年経って、今回スティーブ・カレルとアン・ハサウェイのコンビで再映画化したが、これは成功だ。
この作品は、はるかに安定しており、面白かった。やはり元のドラマ「それ行けスマート」が、安定していたからだ。原案がメル・ブルックスということで、ユダヤ・ジョーク満載だった。本放送では見られなかったが、70年代放送されていた再放送は見てた。
出演者ではドウェイン・ジョンソンが大プロレスラーだ。アクション俳優としても成功している。ちなみにダリープもレスラー仲間だ。
チーフは、アカデミー助演男優賞に輝く演技派俳優アラン・アーキン、カオスの大幹部を演じるのがテレンス・スタンプ。さらに無能な大統領をジェームズ・カーンが演じている。ブルース役は日系人で新「ハワイ5-0」に出ていたマシ・オカ。
スタッフ
監督、製作総指揮 ピーター・シーガル
製作 アンドリュー・ラザー、チャールズ・ローヴェン、アレックス・ガートナー、マイケル・ユーイング
脚本 トム・J・アッスル、マット・エンバー
製作総指揮 スティーヴ・カレル、ブレント・オーコナー、ジミー・ミラー、デイナ・ゴールドバーグ、ブルース・バーマン
撮影 ディーン・セムラー
音楽 トレヴァー・ラビン
キャラクター・デザイン メル・ブルックス、バック・ヘンリー
キャスト
マックスウェル・スマート/エージェント86 スティーヴ・カレル
エージェント99 アン・ハサウェイ
エージェント23 ドゥエイン・ジョンソン
チーフ アラン・アーキン
シーグフリード テレンス・スタンプ
大統領 ジェームズ・カーン
ブルース マシ・オカ
ロイド ネイト・トレンス
シュターカー ケン・ダビティアン
エージェント91 テリー・クルーズ
ララビー デイヴィッド・コークナー
ダリープ ダリープ・シン
エージェント13(木の中の男) ビル・マーレイ
***
カオスの大幹部シークリードは、アメリカ政府を脅迫したが、副大統領はいたずらと片付ける。
しかし拘置所を抜け出し、マックスはロスへ直行する。
ロスアンゼルスに滞在していた大統領にチーフと99はテロ攻撃を直訴するが相手にされない。現れたマックスがカオスの爆破計画を聞いたことを知ったチーフと99は、改めてマックスを信ずる。
大統領がいるコンサートホールで、23から放射能が感知されたことで、本物の二重スパイが23だと判明する。23は99を連れ去る。23は車で逃げ、爆破起動スイッチを入れる。マックスと名パイロットだったチーフは小型ヘリに乗り込み、マックスは23の車に飛び移り、起動装置を奪い合う。車は線路に乗り入れてしまい、列車と衝突しそうになるが、99とマックスは23を倒した。
コンサートホールに戻り、ベートーベンの「歓喜の歌」の最後の演奏のところで、音の大きさを感知したセンサーが爆発させる仕掛けになっていた。マックスは指揮者に飛び掛かり、演奏を中断させる。マックスは、直観でピアノの下に爆弾があることを指摘したが、その通りだった。
事件後、正式にエージェント86となったマックスは、99と禁じられた社内恋愛を楽しんでいる。