第二次世界大戦中のドイツ国防軍占領下のフランスを舞台にして、5章に分けて語られる破天荒な歴史改変劇。

監督はクエンティン・タランティーノ
主演はブラッド・ピット、メラニー・ロラン
共演はクリストフ・ヴァルツ、ダイアン・クルーガー

あらすじ

第1章「その昔…ナチ占領下のフランスで」
1941年、第二次世界大戦中のドイツ軍占領下のフランスでナチス親衛隊のランダ大佐はユダヤ人狩りをしている。ある酪農家の床下にユダヤ人一家が匿われていることを突き止め、部下に機銃掃射させるが、娘のショシャナだけは逃げ出すことに成功する。

第2章「名誉なき野郎ども」
1944年春、レイン米陸軍中尉はユダヤ人8名を選抜した秘密特殊部隊バスターズを組織した。彼らの目的は、敵地奥深くに潜入しナチスを血祭りにあげることだ。レインの祖先であるアパッチ族に倣って、一人が100人の頭を剥ぐよう命じる。そして一人だけドイツ兵を生き残らせる代わりに、額にハーケンクロイツをナイフで刻みつける。バスターズはドイツ軍兵士なのにゲシュタポ将校13名を殺害したテロリストのスティグリッツを救出して仲間に加える。

第3章「パリにおけるドイツの宵」
1944年6月パリ。ショシャナはミニ映画館主エマニュエルに成りすましていた。ショシャナに片思いするドイツ軍狙撃兵フレデリックは、イタリア戦線で獅子奮迅の活躍をした。そしてその活躍を描いたプロパガンダ映画『国家の誇り』主演にも抜擢された。ゲッベルス宣伝相にショシャナを会わせて、エマニュエルの劇場をプレミア上映会にショシャナの劇場に使う許可をもらう。家族を殺された復讐として、ナチス高官たちを可燃性フィルムを使って劇場もろとも燃やそうと計画する。

第4章「映画館作戦」
プレミア上映会に潜入し、ナチス高官ごと劇場を爆破するキノ(映画館)作戦を英軍は立てる。フランス国内のバスターズに合流したヒコックス英中尉は、ドイツ人女優ブリギット(英軍のスパイ)と会うため、フランスの田舎町をドイツ軍将校に扮して訪れる。ところが約束のバーは子供が生まれたドイツ軍兵士と仲間が集っていた。ブリギットはドイツ軍兵士から息子の誕生祝いにと、サインをせがまれる。ヒコックスはそのドイツ軍兵士を追い払うが、ゲシュタポのヘルシュトロム少佐にスパイだと見破られる。銃撃戦になり、足に銃弾を受けながらもブリジットだけが生き残る。ブリジットはレインたちに、プレミア上映会にヒトラーが出席するという情報を齎す。バーを捜索したランダは、ブリジットのサイン入りハンカチを発見する。

第5章「巨大な顔の逆襲」
プレミア上映会の警備に当たるランダは、劇場にやって来たブリジットを別室に連れ出し、バーで見つけたハイヒールを試着させる。サイズが合うことを確認して、ランダはブリジットを絞め殺す。ロビーで待つレインとウティヴィッチを逮捕すると、無線でレインの上官と掛け合い、劇場に爆薬を仕掛けて、内部に潜入しているバスターズにヒトラー暗殺を許す代償に、ランダを米国へ亡命させることを求める。劇場ではフレデリックがショシャナがいる映写室に押しかけていた。ショシャナはフレデリックをピストルで撃つが、相討ちになってしまう。しかしショシャナが前もって編集していた『国家の誇り』は、ショシャナのナチスに対するアップへと切り替わる。これを合図に、映写技師で恋人のマルセルが積み上げられたフィルムに火を放つ。ドニーとオマーは護衛兵からマシンガンを奪って、ヒトラー、ゲッベルスを撃ちまくる。最後は爆弾が爆発して観客全員が死ぬ。

レインらを載せたトラックで米軍の支配地域までたどり着いたランダは、事前の打ち合わせ通りレインに投降する。しかしレインはランダを捕縛して、頭にハーケンクロイツを刻み付ける。

 

雑感

せっかくのメラニー・ロランジュリー・ドレフュスの歴史的共演作なのに、クエンティン・タランティーノ監督は歴史フィクションにしてしまった。こう言う風に歴史改変劇にするのは、タランティーノの悪い点だ。
第1章、第2章は映画音楽からしてマカロニ・ウェスタン風だ。第3章はエルンスト・ルビッチの「生きるべきか死ぬべきか」のオマージュだろう。第4章、第5章は「特攻大作戦」風だった。ブラッド・ピットがリー・マーヴィンというのは言い過ぎだと思う。

ブリギット役のダイアン・クリューガーは、間抜けなスパイ役を演じていた。生き残るのかと思ったが、あっさりボロが出て殺されてしまう。

マイク・マイヤーズロッド・テイラーもメイクがどぎつくて、誰だかわからなかった。
ランダ役クリストフ・ヴァルツはこれからも悪役で出てきそうだ。

スタッフ

監督・脚本  クエンティン・タランティーノ
製作 クエンティン・タランティーノ 、 ローレンス・ベンダー
製作総指揮 エリカ・スタインバーグ 、 ロイド・フィリップス 、 ボブ・ワインスタイン 、 ハーヴェイ・ワインスタイン
撮影監督 ロバート・リチャードソン

キャスト

アルド・レイン米中尉    ブラッド・ピット
映画館主ショシャナ・ドレフュス   メラニー・ロラン
ランダ親衛隊大佐     クリストフ・ヴァルツ
ドニー・ドノウィッツ   イーライ・ロス
アーチー・ヒコックス英中尉   マイケル・ファスベンダー
女優ブリギッド・フォン・ハマーシュマルク   ダイアン・クルーガー
フレデリック・ツォラー   ダニエル・ブリュール
ヒューゴ・スティグリッツ    ティル・シュヴァイガー
ヴィルヘルム・ヴィッキ   ギデオン・ブルクハルト
映写技師マルセル   ジャッキー・イド
スミッソン・ウティヴィッチ    B・J・ノヴァック
オマー・ウルマー   オマー・ドゥーム
ヘルストロム   アウグスト・ディール
ピエール・ラパディット   ドゥニ・メノーシェ
ヨーゼフ・ゲッベルス宣伝相   シルヴェスター・グロート
アドルフ・ヒトラー   マルティン・ヴトケ
エド・フェネク英将軍    マイク・マイヤーズ
フランチェスカ・モンディーノ(ゲッペルスの愛人)    ジュリー・ドレフュス
ウィンストン・チャーチル英首相     ロッド・テイラー

 
イングロリアス・バスターズ Inglourious Basterds 2009 スタジオ・バーべルスベルグ製作 ユニバーサル配給 東宝東和国内配給

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