1957年に「黙って抱いて」(ミレーヌ・ドモンジョ主演)で不良グループのリーダー役として出演したアラン・ドロンは、1958年になって後に婚約するロミー・シュナイダーの相手役として抜擢され、「恋ひとすじに」に出演する。
そして1959年、ついにアラン・ドロンが主人公となる犯罪コメディ「お嬢さん、お手やわらかに」は、クレジットこそ女優陣が先順位だが、実質的にはアラン・ドロンとミレーヌ・ドモンジョ様の立場は逆転して、ミレーヌ・ドモンジョは三人娘(パスカル・プティ、ジャクリーヌ・ササール)の一人という粗雑な扱いで共演する。
監督はミシェル・ポワロン、主題歌を歌うはポール・アンカ。
あらすじ
大学生ジュリアンは生来のドンファンである。恋人アガト(夫持ち)に友人サビーヌを紹介されて二股をかけていたが、サビーヌに高校生エレーヌを紹介されると早速乗り換える。ところが三人以外に富豪の娘アニタと婚約していたことがバレる。可愛さ余って憎さ百倍で三人はジュリアン殺害計画を立てる。そしてエレーヌが彼を足止めする間に、残る二人は部屋に忍び込んで食べ物に毒を仕込む。ところがジュリアンは父に諭され、本当に愛しているのはエレーヌと気付き、アニタとの婚約を破談とする。原因が高校生だと知ったアニタもジュリアンに殺意を抱く。
結局、アニタは拳銃を乱射し、三人娘はジュリアンの父親が毒入りチョコを食べたためともに逮捕され、有罪となる。しかしアニタは模範囚ですぐ出られて、エレーヌはジュリアンと獄中結婚する。アガトも夫と復縁しそうだ。金髪のサビーヌだけが恋する相手がいない。
雑感
三人娘(と言っても一人は既婚者だが)の順位付けもクレジットとは逆順で、ドモンジョ様の役は若いジャクリーヌ・ササールにドロンを取られてしまう。まさに逆年功序列のアイドル映画なのだ。
でも同じ年のイギリス映画「上と下」(宇能鴻一郎の官能小説でない)では、四人の女優が子守役として共演しているが、ドモンジョ様が最も出番が多く、三つ年下のクラウディア・カルディナーレより遙かに美しく描かれていたので、良しとしよう。(ちなみに、あとの二人は年上のジョーン・シムズともっと年上のジョーン・ヒクソン)
スタッフ・キャスト
監督・製作 ミシェル・ボワロン
原作 ソフィー・カタラ
脚色 アネット・ワドマン 、 ミシェル・ボワロン
撮影 ロベール・ルフェーヴル
音楽 ポール・ミスラキ
主題歌 ポール・アンカ
配役
アガト パスカル・プティ
ザビーヌ ミレーヌ・ドモンジョ
エレーヌ ジャクリーヌ・ササール
ジュリアン アラン・ドロン
ジュリアンの婚約者アニタ アニタ・ルフ
アガトの夫アンドレ ピエール・モンディ
ジュリアンの父 アンドレ・リュゲ
エレーヌの父 ノエル・ロックヴェール
エレーヌの母 シモーヌ・ルナン