「深夜の告白」でアカデミー脚本賞にノミネートされてハリウッドでも成功を果たしたハードボイルド作家レイモンド・チャンドラーが初のオリジナル脚本を描き、B級監督ジョージ・マーシャルがメガホンを取った作品がこの「青い戦慄」である。はっきり言って脚本がダメなB級作品である。チャンドラーが結末を書けず呑んだくれて、思いついたアイデアを原稿に書いてしまったと言う話だ。
それでもオスカー候補になったのは、ネームバリューか。ハンフリー・ボガード主演の「三つ数えろ」の出来の方がかなり上だ。
 
しかしアラン・ラッドの美しさを愛でる人たちにはオススメの主演作である。戦後になりピーカブー・ヘアーに戻ったヴェロニカ・レイクはヒロインで、出番も多いが、それほど重要な役ではない。
 
ジョニー(アラン・ラッド)は海軍の飛行機乗りだったが戦争が終わり、除隊となり戦友のバズ(ウィリアム・ペンディックス)とジョージとともに故郷の街へ帰ってきた。バズは傷痍軍人で頭を負傷してプレートを入れているが、激しい耳鳴りが止まず頭痛に苦しめられている。
ジョニーは寡の二人組と別れて、妻の住むホテルに向かう。そこで妻ヘレンと間男エディーがいちゃついているところを見て、口論となりホテル付きの探偵に咎められる。そしてジョニーは護身用に銃を預けて自らは部屋を出ていく。ジョニーがいなくなったと聞いたバズは慌ててホテルに駆け付ける。
ジョニーは他のホテルを当たるがどこも満杯だった。そこで見知らぬ美女(ヴェロニカ・レイク)と出会い、ロス郊外まで車で送ってもらう。
翌朝、ホテルのメイドが部屋を訪ねると妻が射殺されていた。警察は夫のジョニーの行方を追う。
ジョニーも事件と自分が追われていることを知るが、ヘレンの残したメモからエディーが最も怪しいと考える。ジョニーの動きを知ったエディーは手下に命じてジョニーを監禁する。
一方、バズも警察と反目しながら独自にエディーの周辺を探っていた。しかしエディーの妻が現れた途端、バズは変調をきたす。
 
さて、犯人は誰だろうか?
レイモンド・チャンドラーの小説の犯人は、動機が不明瞭であることが多い。このオリジナル脚本もそう。だから結末を知って、唖然とする人が多いだろう。なお、この作品は小説にはなっていないようだ。
ウィリアム・ベンディックスは頭部を負傷して耳鳴りがしている傷痍軍人の役を演じたが、見事なはまり役だった。
 
監督 ジョージ・マーシャル
脚本 レイモンド・チャンドラー
出演
アラン・ラッド
ヴェロニカ・レイク
ウィリアム・ベンディックス
ハワード・ダ・シルヴァ(エディー)
ドス・ドウリング(ヘレン)
トム・パワーズ
ヒュー・ボーモント
青い戦慄 1946 パラマウント作品 (The Blue Dahlia) アラン・ラッドとヴェロニカ・レイク3度目の共演作

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