元友人たちが、「フィッシャーマン」という謎の鉤爪男に次々と襲われるサスペンス映画。
監督はテレビドラマ監督として活躍し、本作が映画監督デビューとなるジム・ギレスピー。
人気作家ロイス・ダンカンの同名小説を基に「スクリーム」のケヴィン・ウィリアムスンが脚本を執筆した。
主演は、ジェニファー・ラヴ・ヒューイット、共演はサラ・ミシェル・ゲラー、ライアン・フィリップ、フレディ・プリンゼ・Ｊｒ。
あらすじ
7月4日、独立記念日の夜、高校三年生のジュリーとレイ、ヘレンとバリーがダブル・デートで、海岸までドライブをした。楽しんだ帰途、彼らの車は飛び出した男をはねる。前途洋々な4人は将来に傷を付けたくなくて、男を海に沈めようとすると、突然男は息を吹き返す。四人は、男を殴って止めを刺し、海に沈めてしまう。そしてバリーは、他の三人に一生黙っていることを誓わせる。
一年が経ってまた夏がやって来た。ジュリーは、奨学金を得てボストンの大学生になったが、事件がトラウマになっていた。
一年ぶりに帰省したジュリー のもとに差出人不明の手紙が来る。そこには「昨年の夏、お前たちが何をしたか知っている」と書かれてあった。脅えたジュリーは、事件に関わったヘレン、バリー、レイに相談する。ジュリーは、たまたま事故現場を通りかかったマックスが手紙の主だと推理する。
しかしバリーがマックスを脅かした後、マックスは漁師のコートを着た鉤爪の男「フィッシャーマン」に殺され、死体ごと消えてしまう。
次に、ジムに行っていたバリーの車が謎の男に盗まれる。バリーが車を追いかけると、逆に突っ込んできて、バリーをはねる。
幸いバリーの命に別状はなかった。バリーを見舞ったジュリーは、昨年の事件の直後にデビッドという男の遺体が海で発見されたことを調べ出していた。
早速、ジュリーとヘレンはデビッドの親族を探る。デビッドの姉メリッサは、弟の死で一人になっていた。彼女は、弟が事故で恋人ルーシーを死なせたのを後悔していたこと、弟の死後に親友ビリーが訪ねてきたことを教えてくれる。
ジュリーは、メリッサにもう一度ビリーの情報をもらうため会いに出かける。ヘレンとバリーは独立記念祭に参加していた・・・。
雑感
これはホラー映画ではない。生身の犯人と動機がある以上、サスペンス映画かミステリ映画だ。
映画「ラスト・サマー」は、テレビの名子役だったジェニファー・ラブ・ヒューイットの出世作だ。この作品は、テレビドラマ監督の劇場処女作で、脚本が少しこんがらがっている。
しかし、その穴を埋めるのに十分な働きを若手四人組（ジュリー、ヘレン、バリー、レイ）が果たしている。
ジェニファー・ラブ・ヒューイットの演技は、なかなか上手い。長く子役で十分揉まれて来たように見える。小柄で細身なのに胸だけ大きく、男性には見た目も魅力的だったろう。
ただし、最近になって製作や演出に興味を持って、ここ数年間にわたって映画出演がないのが残念。
しかし上には上がいた。当時「ヴォルケイノ」に出演して売れっ子になったアン・ヘッシュだ。凄く記憶に残る演技だった。
サラ・ミッシェル・ゲラーは、「スクリーム」と同様に高いところから落とされたが、この作品の方がずっと長く活躍していた。 1
「ラスト・サマー2」（1998）でも今回の生き残り組（鉤爪の男を含め）が活躍する。
一方、「ラスト・サマー3」（2006）については、ジェニファーは出ないし、直接の関係はないので日本で劇場公開されなかった。
スタッフ
監督 ジム・ギレスピー
製作総指揮 ウィリアム・Ｓ・ビーズリー
製作 ニール・モリッツ、エリク・フェイグ、ストークリー・チャフィン
原作 ロイス・ダンカン
脚本 ケヴィン・ウィリアムソン
撮影 デニス・クロッサン
音楽 ジョン・デブニー
キャスト
ジュリー（エリート） ジェニファー・ラヴ・ヒューイット
ヘレン（タレント志望） サラ・ミシェル・ゲラー
バリー（お坊ちゃん） ライアン・フィリップ
レイ（漁師） フレディ・プリンゼ・Jr.
ベンジャミン（スージーの父） ミューズ・ワトソン
エルサ（ヘレンの姉） ブリジット・ウィルソン・サンプラス
メリッサ（デビッドの姉） アン・ヘッシュ
マックス（同級生） ジョニー・ガレッキ
MC ジェイ・ドン・ブァーガソン
ジェームズ夫人 デボラ・ホバート
コックス夫人 メアリー・マクミラン
デブ ラスール・ジャン
ネタばれ
独立記念日の夜、バリーはヘレンの前で鉤爪の男に殺される。しかし遺体が消えてしまい、誰もヘレンの言うことを信用しない。そして結局、彼女も彼女を保護した警官も彼女の姉も、鉤爪の男に殺される。
ジュリーがやって来たときは、ヘレンもバリーも消えた後だった。ところが急にレイが現れた。ジュリーはビリーがレイのことだと知って恐怖を覚え、通りがかりの漁師に助けを求める。漁師はジュリーを連れて、錨を上げて船を岸から離す。
しかしジュリーが真相に気付いたのはベンジャミンの船で沖へ出たときだった。
デビッドはベンジャミンに殺され、ベンジャミンに殴殺され遺棄されたのだ。そして鉤爪の男は、ベンジャミンだった。蘇生したベンジャミンを海に遺棄した四人組に対する恨みで、連続殺人を行なっていたのだ。
ジュリーの危機一髪のところでレイが小型ボートで助けに来て、ベンジャミンは倒され海中に沈む。そして片手がロープに絡まっているのが、発見された。
一年後、明るい大学生活を送っていたジュリーだが、シャワールームのガラスに「俺はまだ憶えている」と言う文字が書かれていた。
