●2002/12/01 Sun ☆☆☆☆☆
監督 成瀬巳喜男
脚本 水木洋子
原作 林芙美子
出演
高峰秀子 (幸田ゆき子)
森雅之 (富岡兼吾)
山形勲 (インチキ宗教家・伊庭杉夫)
岡田茉莉子 (向井の妻おせい)
加東大介 (向井清吉)
高峰秀子主演の史上最高傑作。
戦時中、農林省技師の富岡(森)とタイピストのゆき子(高峰)は仏印で出会い愛し合った。
しかし引き上げてきても、二人はなかなか一緒になれない。
富岡は妻と別れられず、その上、彼女に病気になられてしまい見捨てるわけに行かないくなった。
絶望したゆき子は外人相手のパンパンになる。
そんなゆき子を慰めようと、富岡は三島の温泉に連れて行く。
そこで富岡が人妻おせいと出会い、色目を使ったばかりに、またゆき子と揉める。
ゆき子は妊娠していたが、これをきっかけに下ろしてしまう。
そしてしばらくゆき子は、インチキ宗教家伊庭の情婦になっていた。
そんなある日、富岡の妻が亡くなったという。
葬儀のあと、富岡が屋久島へ赴任することをゆき子は知る。
☆
ドロドロになった、どうしようもない男と女の世界だ。
決してハッピーエンドは望めない。
若い頃は小説に過ぎないと思っていた。
しかし大人になると、誰にでもあることだとわかった。
男と女が両方に切れる決意がないと、別れられないものだ。
女のせりふはリアルで、妙に恐ろしく感じられる。
高峰秀子はちっとも不潔感が無く、それだけが救いだった。
おそらく女が粘着質のタイプなら、怪談になっているだろう。
海外とくにヨーロッパで絶賛された映画で、日本映画のベストワンに上げる人は多い。
カヤックスとか、カウリスマキとか、大物監督が信奉している。
この人たちの映画も、そういわれてみて見れば成瀬作品にどこか似ている。