そろそろ戦争のきな臭さが身の周りに感じられ出した昭和13年。
映画は前編と後編に分かれていて、当時の女工さんたちが休みの日に映画館で主題歌を合唱するほど大ヒットした。
この他に、続編もある。
戦前の大型メロドラマはこれが最後となる。
残念ながら現存するのは、前後編をまとめた総集編のみ。

高石かつ江は未亡人である。子供を姉に預け、寮に住みながら看護婦として働いている。
病院には子供がいることがばれると馘になるので、伏せてある。
院長の息子津村浩三が大学を卒業して、医師として病院に赴任してくる。
彼は快活な高石に対し次第に愛情を感じ始める。
高石は津村の気持を嬉しく思うが、一方で子供があることを言い出せず一人苦しむ。

長内美那子主演のドラマを60年代にリアルタイムで見ていた。
ドラマは最後は火事か何か災害が起きたと思うが、
映画では高石かつ江が馘になった後、生活に困って歌手デビューを果たしてしまうと言う破天荒な展開だった。

 

愛染かつらの木は、大阪天王寺や上田市など何カ所かにある。上田市のものを見て原作者の川口松太郎が思いついたとのことだ。

 
監督: 野村浩将
原作: 川口松太郎
脚色: 野田高梧
撮影: 高橋通夫
音楽: 万城目正
歌: 霧島昇、ミス・コロンビア

 
出演:
上原謙 津村浩三
田中絹代 高石かつ枝
藤野秀夫 父・保樹
葛城文子 母・清子
森川まさみ 妹・竹子
河村黎吉 伯父・春樹
吉川満子 姉・さだ枝
小島和子 娘・敏子
坂本武 吉川副院長
岡村文子 佐藤看護婦長
佐分利信 服部医学士
高杉早苗 服部の妹・美也子