ケビン・コスナーお得意の民主党 万歳映画。
もう少し公開が早ければ大統領選挙にも大きな影響を与えていただろう。
1962年の10月、中間選挙の最中に突然襲ってきたキューバ危機。
その十三日間に、ケネディ大統領45歳(ブルース・グリーンウッド)、
弟で司法長官のロバート36歳(スティーブン・カルプ)、
そして大統領補佐官ケネス・オドネル38歳(ケビン・コスナー)の三人が、どういった行動を取り、どのような苦悩を煩い、どういった判断を行ったか、時系列に沿って克明に描いている。
U2偵察機が捕らえたキューバの核ミサイル基地の空中写真は、早速ペンタゴンからホワイトハウスに送られた。
選挙戦に忙殺されていたケネディ大統領一派だったが、突然の非常事態に各省のトップを緊急招集する。
空軍から空爆作戦の声が挙がったが、ケネディ大統領は慎重だった。
キューバを叩いても、西ベルリンがソ連に報復される。
そうなると第三次世界大戦を引き起こすのは必至だ。
大統領は、軍部から弱腰と批判されながら、海上封鎖策を選択した。
ロバート・ケネディとオドネル補佐官は大学時代のルームメイトで、同じアイリッシュ・カトリックである。
オドネルはケネディ兄弟にいつも付き添い、よく二人をサポートしていた。
米軍のタカ派は、偵察機を囮にして、ソ連の攻撃を誘い出し、世論を背景にして、ケネディに戦争へのゴーサインを出させるつもりである。
その動きを察知したオドネルは、ひとつひとつ現場を直接指揮して、ソ連の仰撃を受けず生きて帰るように指示を徹底した。
ソ連の核ミサイル輸送船は、海上封鎖によりUターンを余儀なくされたが、キューバ国内の核ミサイルはワシントンに向けられたままである。
ケネディはフルシチョフ書記長と裏ルートで連絡を取るが、フルシチョフもソ連国内のハト派とタカ派の争いに巻き込まれ、判断に迷っていた。
そしてついに偵察機U2がキューバ上空で撃墜される。
軍部の主張も強まり、会議での大勢を占め、来る月曜に空爆開始が決定される。
しかしケネディ大統領はロバート・ケネディに、ある案を授けて、ソ連の駐米大使のもとへ送る。

目前にまで迫った第三次世界大戦をを人間の英知で避けた、ケネディの素晴らしい政治的業績を讃えるための映画だが、今ひとつ開戦直前の緊張感が伝わなかった。
映画としてメリハリが感じられず、冗長(2時間25分)である。
ケビン・コスナーの映画はみんなそうだけど、重い雰囲気がずっと続いてしまう。
緊張と緩和というものがない。
このような膠着は、政治の宿命でもある。
アメリカ、ソ連お互いに政府内部のハト派とタカ派が争って、間に立つ大統領や書記長がなかなか決断できない状況にあったからだ。
したがって映画がこういう風になったのも素材のせいなのだが、見ている側としては少々歴史をひんまげてもいいから、もう少し笑いと驚きを詰め込んで欲しかった。
主役三人のうち、ロバートだけはそっくりさんの俳優を使っている。
そのせいか、後に大統領候補にまでなって暗殺された、ボブ・ケネディがバカっぽく見えた。
ケネディ大統領は徹底したハト派で、反感を抱く軍との対応に苦心していたらしい。
もっとも女性大好きで、十三日間も女断ちしていたとは思えないのだが、そういうシーンは皆無。
オドネル補佐官は彼ら兄弟のただの相談相手で、実質的に秘書課長ってところ。
実在の人物だけに控えめに描いているが、それ故に存在感が感じられない。
少々デフォルメしても役作りした方が、映画として面白いし説得力も出たはずだ。
ただし、補佐官は家族(妻と五人の子供)のことをいつも頭の隅に置いていた。
もし戦争になってキューバの核ミサイルがワシントンに落ちたら、自分は家族を失ってしまうという恐怖と対峙している部分は新鮮に感じた。
政治家というと、既に子供は結婚して孫もいるような気がするが、補佐官とはいえオドネルは政治家としてのキャリアも若く、小さな家で幼い子供達と一緒に暮らしている。
38歳の彼にとっては、幸せの絶頂であり、この生活を守ることが最優先課題だ。
そうしたところから、積み上げられた政治的判断がああいった結果を生んだのかも知れない。
これが何時死んでも良いと思っている爺の政治家、たとえばアイゼンハワーなら、戦争になっていたかも知れぬ。
派手なドンパチもなく、お互いの腹の読み合いの映画だけに、誰でも文句なしに楽しめる映画とは言えない。
しかし政治ってものがどんなものか、知るには相応しい映画だ。
正直言って、自分でもオドネルぐらいの仕事ならできると思った(笑)

13デイズ(Thirteen Days, 2000, USA)

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