航空業界と映画界の風雲児ハワード・ヒューズの半生記。若干22歳で両親の遺産を持って映画界に殴り込み、次いで航空会社TWAを買収するが、航空業界の盟主パンナムは汚い手を使ってでもTWAの国際線進出を阻もうとする。

 
監督はマーティン・スコセッシ、主演レオナルド・ディカプリオで共演はケイト・ブランシェット(アカデミー助演女優賞)、ケイト・ベッキンセール
 

 

あらすじ

 
石油掘削ドリルで一山当てた両親の莫大な遺産を受け継いで大富豪となったハワードは、飛行機の楽しさを訴えるため、「地獄の天使」という飛行機映画を製作する。当時最大の製作費を使ったもので、ハワードは一躍セレブとなり、女優キャサリン・ヘップバーンと恋に落ちる。

ハワードは自ら設計した飛行機を操縦して、速度の世界記録を塗り替える。そして株式を買い占めて、大手航空会社であるTWAを買収する。第二次世界大戦が近付き、ハワードは大型輸送機「ハーキュリーズ」の制作に着手する。一つのことに没頭すると、他が目に入らなくなるハワードにキャサリンは同志愛を感じながらも、一緒にいられないと言って別れる。

 
キャサリンと別れた後、オーディションをして愛人を見つけるが、田舎者であまり楽しくない。知り合ったエヴァ・ガードナーに惚れ込み付き合うようになる。そんなハワードは飛行機のテスト飛行をしていたが、エンジンの異常により、住宅街に墜落する。何とか一命を取り留めるが、ハーキュリーズに関する軍との契約で汚職を疑われたハワードは絶体絶命に追い込まれる。国際線を独占する大手航空会社パンナムが裏で糸を引き、ブリュースター議員の告発により、ハワードは全裸で部屋に閉じこもり牛乳瓶に小便を溜めるなどの奇行に走り出す。
 

しかし元恋人の支えもあり、汚職に関する公聴会では、ブリュースターを論破しパンナムの国際線独占問題を切り出し、ハワードは民衆の支持を受けるようになる。そして今度こそハーキュリーの一号機を完成させたハワードは、無事にテスト飛行に成功する。

雑感

 
フィクションを交えているが、難聴で人間恐怖症のヒューズが公聴会でブリュースター議員をやっつけたことは事実。やはり彼は金をどう使うか知っていた天才だった。ヒューズはアスペルガー症候群だったと言われている。僅か22歳で映画作りと飛行機作りに精通していたなんて、普通の人間ではない。その反面、人間恐怖症で病的な潔癖症に一生苦しむ。映画では、母親のせいみたいに描いているが、1918年はアメリカでスペイン風邪が猛威を振るっていて、母親としては衛生に気遣うように仕付けることは、当然のことだ。潔癖症は、あくまで本人の問題だったわけだ。

 
結局、輸送機ハーキュリーズの飛行はこの一回だけで、第二次世界大戦は既に終わっており、朝鮮戦争でも日本に軍事基地を置いている地理的有利さからハーキュリーズの出番はなかった。
やがて彼は映画界からも引退した後もTWAの経営を続け、世界一周航路を開拓する。しかし経営の混乱で株式と経営権を手放した。結婚は三度して、最後の妻ジーン・ピータースとも別れてしまった。亡くなったときは、遺書を遺していなかったため、遺産訴訟は今も続いている。

 
この映画は、アカデミー賞を11部門でノミネートされて、5部門(助演女優賞、撮影賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞)で受賞した。

 

スタッフ・キャスト

 
監督 マーティン・スコセッシ
製作 マイケル・マン 、 サンディ・クライマン 、 グラハム・キング 、 チャールス・エヴァンス・ジュニア
脚本 ジョン・ローガン
撮影 ロバート・リチャードソン (アカデミー撮影賞)
衣装デザイン サンディ・パウエル (アカデミー衣装デザイン賞)
音楽 ハワード・ショア
音楽監修  ランダル・ポスター

 
配役
ハワード・ヒューズ   レオナルド・ディカプリオ
キャサリン・ヘップバーン   ケイト・ブランシェット
エヴァ・ガードナー      ケイト・ベッキンセイル
経理責任者ノア・ディートリッヒ     ジョン・C・ライリー
パンナム社長ホアン・トリップ       アレック・ボールドウィン
ブルースター上院議員      アラン・アルダ
フィッツ教授         イアン・ホルム
ジャック・フライ       ダニー・ヒューストン
ジーン・ハーロウ       グウェン・ステファニー
エロール・フリン       ジュード・ロウ
ジョニー・マイヤー      アダム・スコット
トップ屋ローランド・スイート     ウィレム・デフォー
 

 

アビエイター The Aviator 2004 IMF他製作 ミラマックス配給 松竹・ヘラルド国内配給

投稿ナビゲーション