小津安二郎作品だが、妙にリアリズム志向で小津らしくない作品。
監督 : 小津安二郎
製作 : 久保光三
脚本 : 斎藤良輔 / 小津安二郎
撮影 : 厚田雄春
配役:
佐野周二 (夫、雨宮修一)
田中絹代 (妻、雨宮時子)
三宅邦子 (井田秋子)
笠智衆(佐竹)
村田知英子 (織江)
あらすじ
戦後、夫が帰還するか不安な毎日を送る時子は、子供の治療代ほしさに一夜の誤りを犯してしまう。
やがて夫の修一が復員してくるが、売春したという秘密がばれてしまい夫婦仲はしっくり来ない。
修一は時子が働きに出たという風俗店に行った。
やがて女がやって来て、身の上話を聞いた。金だけおいて、女を抱かずに店を出た。
二日ぶりに修一は家に戻った。
しかしまた夫婦喧嘩である。
修一ともみ合ううち時子は階段から落ちてしまう。
時子が階段をヘイヘイの体で上がっていったとき、修一はもうあのことは忘れようと言った。
夫が妻の売春(生活のためだった)を許したのだから、男女同権時代の映画といえよう。ただし日本の男どもが戦争に負けて自信を失っていたからである。これも進駐軍のプログラムピクチャーなのかな?
田中絹代の階段落ちシーンが見られる。珍しく色っぽく見えた。いつもはいいおばさん役ばかりなのに。
佐野周二は木下作品(「お嬢さん乾杯」)と違い、小津作品では良い役には恵まれたことはない。この映画でも、しじゅう機嫌の悪そうな顔ばかりしている。
また三宅邦子が田中絹代の友人を演じている。いつもの兄嫁姿(小津作品では兄嫁になることが多い。)と違い、別人のようだった。
村田知英子が悪魔のように主人公をそそのかす役で登場する。マージンを取っていたんだろう。
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