石坂洋次郎原作のNHK放送劇(ラジオか?)を黒澤明組の名助監督堀川弘通が演出した。
1時間12分とフィルムは短いのに、色々と内容を盛りすぎて、かえって内容が平板になった作品だ。

学生の山田真二はキャリアウーマン司葉子に憧れて、司と同僚杉葉子は上司で男やもめの森雅之が好き。司の姉で夫を持つ津島恵子は司の同僚太刀川洋一と満更でもない。色々あったけど結局誰もセックスせずに別れて、最後は笑顔で終わる健全娯楽劇w。さすが石坂洋次郎作品だ。

 

司葉子が、えもいわれぬ美しさである。
彼女のキャリアの中でもピークではないかと思われる。小津安二郎監督の「秋日和」(松竹)より遙かに美しい。

役柄もぴったりだ。
司は「青い山脈」の島崎雪子先生役も演じているが、キャリアウーマン役がもっとも似合っている。逆に言えば女学生役は向いていない。

杉葉子が司葉子の引き立て役だ。石坂洋次郎原作の映画「青い山脈」から10年経って、すっかり脇役が似合ってきたが、二年後にはアメリカ人と結婚して渡米する。この1959年には紅白歌合戦の応援ゲストとして出演している。

津島恵子はヘアスタイルがちょっと?と思ったが、サザエさんの漫画でも見たことがあるスタイルなので当時の流行だったのだろう。

青山京子は太刀川洋一の妹役。美人なので1958年以降東宝からフリーになっても活躍した。のちに小林旭と結婚引退。

森雅之が司葉子の上司役で出演している。ロマンスグレーの編集長で、司に惚れられるうらやましい役だ。

 

「秋日和」では司の伯父役を演じていた笠智衆は、司の義理の兄貴役だ。
賀原夏子が笠智衆の妻で司葉子の長姉だが心配性な役を好演している。

山田真二は笠智衆の長男の家庭教師役だが、万年青年であまり目立たない。1959年には紅白歌合戦に歌手として「娘が口笛吹く時は」で出場している。

 

 

さらに星由里子が子役で出演(16歳、彼女のデビュー作)してるのも注目だ。
司葉子と星由里子って、我々にとってずっと年上なので同じ世代と思いがちだが、この映画を見ると星由里子はポスト司葉子を担った東宝女優だったんだなとわかる。

 

すずかけの散歩道 (1959) 東宝

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