美しいカラー映像で一時代を画したマイケル・パウエルエメリック・プレスバーガーの「アーチャーズ・プロ」記念すべき第一回作品。

若き日のデボラ・カーが三役を演ずる変わった戦争映画。

The Life and Death of Colonel Blimp というのが原題。このColonel Blimpとはマンガに出てくる頑固者のキャラクターのことらしい。

市民防衛軍のキャンディ少将は軍事訓練前の一時をトルコ風呂(日本で言えばローマ風呂)で過ごしていたが、ウィルソンという将校に急襲されつかまる。軍事訓練は真夜中0時から始まるはずだったが、ドイツ軍は卑怯だからいつ来られても備えをしておかなければならないというのだ。しかしボーア戦争から第一次世界大戦まで参戦してきた頑固な少将にこの理屈は通じない。将校と取っ組み合いになり風呂に沈んだまま、少将の回想シーンに移る。1902年、ボーア戦争から帰国したキャンディは、ベルリンで家庭教師をしているハンター嬢からドイツ将校が反英感情を流布していると教えられ、外務省も軍も自重を促したが、たまらず現地へ行く。そこでドイツ軍の将校たちと揉めて、決闘騒ぎとなる。相手はシュルドルフ、サーベルでの決闘でともに負傷して病院送りとなった。しかし病院でともに過ごすうちにシュルドルフとすっかり意気投合してしまう。ところが退院の日、シュルドルフは思い詰めた表情でハンター嬢に恋してると告白する。キャンディは驚き二人を祝福するが、英国に帰ってからハンター嬢を愛していたことに気づく。

160分映画だが、見せ場はあって飽きることはなかった。これを見て飽きる人間はレオ・マッケリー監督の名画「めぐり逢い」を見ても寝てしまうだろう。

まず初期のカラー映像にかかわらず、メイク技術が凄い。主演のロジャー・リヴセイ(当時37歳)はキャンディとして30歳ぐらいから70歳の丸禿になるまで描かれているが、全く違和感がない。

次に当時21歳の若く美しいデボラ・カーが同じ年頃の女性役で三役を演じ分けている。

さらにオーストリア出身英国在住のアントン・ウォルブルックが親英反ナチのドイツ人として描かれている。これは上映当時感情的に批判されたが、今となっては当たっていない。

この映画は第一次大戦までの戦争にノスタルジーを感ずる頑固者が第二次世界大戦の戦い方を批判しているのだ。

監督、製作、脚本:マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー

撮影:ジョルジュ・ペリナール

出演:ロジャー・リヴセイ、デボラ・カー、アントン・ウォルブルック

 

老兵は死なず 1943 イギリス

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