原題は”White heat”、これを「白熱」と訳すことに淀川長治は反対だったそうだ。

しかし1949年にしては壮大なエンディングの映画だった。見て損はない。

 

 

あらすじ:

コーディーはギャングのボスだが、マザコンで精神疾患から来る激しい頭痛持ち。ギャングの一味と郵便列車を襲撃し四人を殺し大金を手にする。

しかし母に警察の手が回ったと知るや、同じ日に仲間にやらせたつまらない窃盗事件で自首して2年の懲役刑で済ませる。警察は列車強盗の犯人をコーディーだと疑い、刑務所にハンク・ファロン捜査官を囚人として潜入させる。

コーディーはファロンを気に入る。そして仲間のエドに裏切られて妻のヴァーナを寝取られた上に母親まで殺されたと知るや、突然ファロンたちを連れて脱獄してしまう。そしてエドを殺害しヴァーナを取り戻す。

次にコンビナートを襲撃しボーナスを強奪する計画を立てた。しかし警察はファロンの残した伝言でコーディーの狙いを知った。最後はコンビナート内での銃撃戦となり、稀代の犯罪者コーディーは石油タンクの大爆破とともに散った。

 

 

感想:

単なるギャング映画だと思っていたが、フィルムノワール(暗黒映画)と言える内容だった。

ニューロティックな作品(神経症的映画)と言う人もいる。たしかに当時、第二次大戦の後遺症でPTSDに罹る人が多くなり、またフロイト精神分析学の流行でヒッチコック監督の「白い恐怖」のような作品が多く作られた。ここでもコーディーのマザコンとか精神疾患が重要な役割を担っている。

中でも何と言っても最後のシーンの大自爆が見ものであるが、そこに至るまでのコーディーの狂気があってこそのラストシーンなのだ。

賞は取らなかったがオスカー俳優ジェームズ・キャグニーの名演技の一つだろう。

ヴァージニア・メイヨもとくに見せ場のないギャングの情婦という汚れ役に過ぎないが、ワーナーまで来て演じる価値を感じていたと思う。

 

 

監督 ラオール・ウォルシュ
脚本 アイヴァン・ゴフ、ベン・ロバーツ
原案 ヴァージニア・ケロッグ
音楽 マックス・スタイナー

出演
ジェームズ・キャグニー
エドモンド・オブライエン
マーガレット・ワイチャーリイ
ヴァージニア・メイヨ
スティーヴ・コクラン

白熱 1949 ワーナーブラザーズ

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