大林宣彦監督の尾道三部作(1982年から1985年)と新尾道三部作(1991年から1999年)の間の期間に撮った作品。

山田太一の原作は第1回山本周五郎賞を受賞しており、その上脚本に市川森一を起用して、大林の演出はどこか新作落語の怪談噺を思わせる。

 

あらすじ

 

原田英雄(風間杜夫)は中年の売れっ子脚本家である。最近妻と別れ、都心のマンションに一人で越してきた。そのマンションは事務所中心で、夜になると他に住人が一人暮らすだけである。ある夜、その住人である女性が訪ねてくる。彼のファンらしかったが、機嫌が悪かった英雄は邪険に扱い追い返す。

その日以来英雄の身の回りで不思議なことが起きる。英雄がかつて暮らしていた浅草に出かけ、死んだはずの両親に出会ってしまった。なぜか交通事故で亡くなった時の姿のままだった。英雄は嬉しくなって、両親の家へ通い御馳走になるようになった。

またマンション住人の桂(名取裕子)とも再び出会い、速攻で結ばれる。何度会ううちに彼女は英雄の様子がおかしい、目の下にクマができていると言うのだ。そして幽霊(異人)である両親とは会わない方が良いとも言う。死の世界に近づくと、体が衰弱してしまう。

英雄は親子ですき焼き屋に行き涙ながらに別れを告げると、二人は微笑みながら消えてしまった。

英雄の仕事仲間であり友人である間宮(永島敏行)も英雄の異変には気付いていた。英雄のマンションに行き管理人に話を聞くと、桂は原田に追い返された晩に胸を搔ききって自殺したと言う。慌てて桂の部屋に行くと、白髪の老人になった英雄が亡霊を抱いていたが、あわやの所で間宮に助けられた。

 

 

雑感

 

見事な原作山田太一、脚本市川森一、演出大林宣彦のコラボレーションだ。まさに落語のような作品だ。大林監督は青春ものの巨匠だと思うが、レトロ感が漂うこの作品は名作だと思う。

父親役片岡鶴太郎は当時テレビドラマ「男女七人夏物語」や「季節外れの海岸物語」等で活躍していたが、この映画の出演で演技力を評価されたと思う。

秋吉久美子は母親役だが、かなり色っぽい。当時はセクシー路線でヌードも辞さずだった名取裕子も形無しだった。

 

スタッフ

 

監督 大林宣彦
製作 杉崎重美
原作 山田太一
脚色 市川森一
撮影 阪本善尚
音楽 篠崎正嗣

 

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配役

 

原田英雄 風間杜夫
英雄の父 片岡鶴太郎
英雄の母 秋吉久美子
間宮 永島敏行
藤野桂 名取裕子
原田重樹 林泰文
管理人 奥村公延

 

 

 

異人たちの夏 1988 松竹 – 大林宣彦の人情味溢れる怪談噺 –

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