飛騨高山ご当地アニメになって大人気の、米澤穂信原作小説「氷菓」を実写映画化した。監督・脚本は安里麻里、主演は山崎賢人、共演は広瀬アリス、斉藤由貴。
あらすじ
神山高校に入学した折木奉太郎は姉の指令で部員の居なくなった古典部に所属する。しかし部室には先に同じ一年の千反田エルがいた。やがていくつかの日常の謎を解決することで福部里志、伊原麻耶花も古典部に所属する。
ある日、エルは折木に会い、叔父関谷純に関する次の謎を解いて欲しいと言う、「十年前叔父が何と言ってエルを泣かせたか」。
古典部の文集「氷菓」第二号を読むと郡山養子の署名入り記事にヒントが隠されていた。1967年の神山高校文化祭で叔父は退学させられていたのだ。週末に各自が集めた情報を持ち寄って、千反田宅で推理大会が開かれた。折木は学校史を読み込み、格技場の火災事件をヒントに関谷純が学生運動のリーダーだったが、彼らの騒乱が元で火災が発生し、責任を取らされたと推理する。しかしその夜、姉からの電話でそれが誤りだったと知る。
翌日、折木は他の三人とともに図書館司書の糸魚川を訪ねた。糸魚川養子は結婚前、郡山養子といい古典部での関谷純の後輩だった。彼女は関谷純退学の真実を語ってくれた。
関谷純は郡山を火災から助けたために英雄扱いされて運動の首謀者にでっち上げられた。そのために学校から退学処分を受けた。関谷は望んで英雄になった訳ではなかった。
最後に折木はアイ・スクリームと呟いた。関谷は氷菓という文集の題名「氷菓」=アイスクリームという洒落によって、自分の辛い想いを後輩に伝えたかった。
雑感
エルは清楚だが空気を読んでいない娘と思っていた。だからコメディエンヌの広瀬アリス演ずるエルははじめ違和感があったが、進んでいくに従い次第に収まった。
最後まで違和感があったのは山崎賢人の折木だ。山崎のせいよりも脚本が悪い。はじめは名探偵かと思わせておいて、最後の謎は肝心の部分をほとんど推理しなかった。
原作あるいはアニメと比較して変えているところは、アニメ第一話後半のオリジナル部分を原作に戻して省略し、第三話の遠垣内の段をなかったことにして部室内部に文集があったとしている。さらに第四話部分で折木が格技場の植木の炎上跡から事件を一旦解決するが、エルと折木はその夜に矛盾に気付く。しかし第五話部分で折木は糸魚川司書に丸投げして33年前の真実を教えてもらっている。
こういう終わり方ではカタルシスがない。おそらくシリーズ化はされない。
スタッフ
脚本・監督 – 安里麻里
原作 – 米澤穂信
エグゼクティブプロデューサー – 井上伸一郎
製作 – 堀内大示、三宅容介、勝股英夫、阿南雅浩、宅間弘治
プロデューサー – 小林剛、山形亮介
撮影 – 月永雄太
照明 – 木村匡博
音楽 – 林祐介、OLO
主題歌 – イトヲカシ「アイオライト」
キャスト
折木奉太郎 – 山﨑賢人
千反田える – 広瀬アリス
伊原摩耶花 – 小島藤子
福部里志 – 岡山天音
関谷純 – 本郷奏多、眞島秀和(成人後)
糸魚川養子 – 斉藤由貴
折木供恵 ‐ 貫地谷しほり(声のみ)