小山明子の魅力爆発の映画だ。
ウィリアム・アイリッシュの原作を田村孟高橋治が脚色し、高橋治が監督した作品である。
時は松竹ヌーベルバーグ。出演者はクールな演技を見せる。
当時、小山明子はこの映画で演技に開眼したと評判だったそうだ。

小山明子は男に捨てられ、身ごもった子どもと共に死のうと思っていた。保科夫妻が彼女を励ましたが、事故でその二人がぽっくりと死んでしまう。
夫妻はアメリカで結婚したため、夫の両親(斉藤達雄東山千栄子)は妻の顔を知らない。小山明子は妻になりすまして保科家に潜り込む。
次男の渡辺文雄は疑いを抱いて、探りを入れる。彼女も罪の意識におののく。しかし、やがて次男とも和解する。
ある日、高野真二が現れる。彼こそは小山明子の過去を知る男だ。高野は彼女を恐喝し、婚姻届に判子を押させる。
次に小山明子が彼のもとを訪れたとき、高野は死んでいた。いったい誰が・・・

 

四国の話だが、もちろんヌーベルバーグだから標準語で会話をしている。リアリズムとはほど遠い。
暗い日活映画という感じがしないでも無いが、とくに台詞の暗さが松竹ヌーベルバーグ独自の味わいだろう。
田村孟はさすがに日活の脚本家とは違う。若い頃の作品は台詞を短くして、ぶっつり言い切ってしまう雰囲気が魅力だ。
(この後、日活にも移るんだけど。)
音楽は前田憲男。当時としては格好いいジャズ調だ。

小山明子はすこぶる美人である。オードリー・ヘップバーン(A型)スタイルの服を着こなし、実にイカしてる。でも眉を高く描いているのか、まぶたが重そうだ。
渡辺文雄小山明子をひたすら待って耐える男の役。
でも最後はやっぱり振られる。東大出のくせに情けない(笑)
いつもは悪代官など脇を固める高野真二が、珍しく被害者役を演じていた。
こんな良い映画なのにビデオが見あたらない。

 

死者との結婚 1960 松竹

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