監督・脚本 石井裕也 (ブルーリボン監督賞)
出演
満島ひかり(二年連続モントリオール・ファンタジー映画祭主演女優賞)
志賀廣太郎
岩松了
石井裕也が初の商業映画で史上最年少受賞した作品。
どこか自主映画の味わいを残していて、脱力系だ。
佐和子は生まれ故郷を家出して上京し5年、5度仕事を変えて、5人目の彼氏とつきあっている。
今は玩具メーカーの契約社員で、子持ちの男新井とつきあっている。
娘は加代子といい、子供嫌いの佐和子になかなか、なつかない。
佐和子はそんな自分を「中の下だから」と万事についてあきらめている。
ある日、叔父(岩松了)が「父(志賀廣太郎)が倒れた」と連絡してくる。
酒飲みが祟って肝硬変になり長くないらしい。
父は地元でシジミをパックする工場を営んでいた。
佐和子は父の抜けた工場をイヤイヤ手伝う羽目になる。
しかし、従業員は地元のおばちゃんばかり。
佐和子が男と駆け落ちしたことも知っていて、彼女に辛く当たる。
やがて自暴自棄になった佐和子に恋人新井は嫌気が差し、女と逃げてしまう。
新井の娘加代子、病人の父とともに後に残された佐和子。
工場の業績も落ちるところまで落ちた。
そこで彼女はやっと開き直り、会社を建て直しはじめる。
ようやく目覚めた佐和子の姿におばちゃん達も心を開き、新しいシジミパックは売上を倍増する。
しかし、ついに父に最期の時が来た。

満島ひかりはテレビの主演だと一つしか引出を開けないが、映画だと、役に応じて変幻自在だ。
石井の脚本も脱力+コミカルでいい。
メジャー級の役者は満島しか出ていないが、どの俳優の持ち味も生かされていて、実に楽しかった。
この映画が封切られてから、石井と満島は結婚した。
結婚後は石井映画に満島が主演することはないそうだ。
それだけが残念である。

川の底からこんにちは 2010 ユーロスペース・ピア

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