太宰が井伏鱒二に2度目の結婚を勧められ見合いした話。(私小説風短編)
富士山が間近に見える御坂峠に宿を取り、井伏と出会う。
そのころは富士など下品だなんだと言っていたのだが、美しい彼女に出会うと富士に対する不信感までどこへやら。
太宰の実家がこの結婚に何の援助もしてくれない。
そのことを先方に話しに行った時も、ご母堂が、身内だけの小さな式で済ませましょう、と言ってくれて、ますます富士を頼りにする太宰だった。
富士に対する感情の変化で太宰の人間不信感が薄らいで行く様子がわかる。
とはいえこの10年後どういう結末になったかは、ご存じの通り。
途中、地元の若者たちに先生、先生と呼ばれている。
すると自分ほど苦悩した人間が、先生と呼ばれるにふさわしい男だと、一人納得するシーンが印象的。
原作はこちら。

富岳百景 太宰治 新潮WEB

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