東宝怪獣ものにしては珍しく原作があり、怪奇小説家として知られる黒沼健の作品を使っている。後にゴジラシリーズに参加する脚本家関沢新一が最初に手がけた。

アメリカのテレビドラマとして発注されたが、途中から国内映画となり、東宝特撮初のシネマスコープ版映画(東宝パンスコープ)として公開された。

監督は本多猪四郎、主演は珍しく野村浩三、園田あゆみ、俳優座創始者の千田是也が蝶から怪獣までなんでも来いのスーパー生物学教授役。

 

 

あらすじ

 

 

異常気象のため、北上川の上流で、シベリアにしかいない蝶が採集された。生物研究所の杉本博士は、新庄研究員らを現地に派遣して調査を命じた。二人は山奥で蝶を採集したが何ものかが襲いかかり、彼らは圧殺される。助手魚崎、兄の死因を探る記者由利子、カメラマン堀口の三人は現地へ向い、湖でトカゲ上の巨大なバランに出会った。バランは集落を破壊し、湖水に姿を消した。バランの都市侵入を阻止するため、駐屯部隊が攻撃した。杉本博士は照明弾を打ち上げさせ、バランを誘導したが、山火事が起ってしまい、バランは何とムササビのような羽をひろげ、海の方角に飛び去った。
このニュースは日本中にひろまった。政府と防衛庁は火力でバランを撃退出来ると考えた。バランは、ついに東京湾内に侵入し、羽田空港に上陸した。杉本博士は遅効性の特殊火薬をパラシュートにつけ、ヘリコプターから投下し、バランに呑みこませた。バランは、これによってついに体内爆発をおこして海中に落下、まもなく大爆発を起こして、海中に没した。

 

雑感

 

ゴジラも宇宙人も出て来ない繋ぎのB級怪獣映画として撮られた。
しかし蜥蜴に見えるバランは何やら80年代のアメリカン・ガッジーラを見ているようだ。それに空を飛ぶムササビ型怪獣なんてガメラより何年も先を行っていた。そういう意味で早過ぎた怪獣と言えよう。宇宙怪獣と戦わせれば、人気が出たかもしれない。

自衛隊がもう一方の主役であり、シャーマン戦車チャーフィー戦車護衛艦うらなみ、F-86Fセイバーと当時の自衛隊の主力級が総出演である。もちろん、それに合わせて円谷英二のミニチュア兵器も作成された。

 

スタッフ・キャスト

 

監督 本多猪四郎
製作 田中友幸
原案 黒沼健
脚本 関沢新一
撮影 小泉一
光学撮影 荒木秀三郎
特技監督 円谷英二
音楽 伊福部昭

配役

魚崎健二(生物研究者) 野村浩三
新庄由利子(婦人新聞記者) 園田あゆみ
堀口元彦(キャメラマン) 松尾文人
新庄一郎(生物研究者) 伊藤久哉
杉本博士(生物学者) 千田是也
藤村博士(火薬学者) 平田昭彦
勝本三佐(防衛庁) 土屋嘉男
艦長(防衛庁) 田島義文

大怪獣バラン 1958 東宝

投稿ナビゲーション