(☆)国弘威雄、佐治乾、掛札昌裕、金子武郎の四人が共同脚本を執筆し、中島貞夫が監督した女性時代劇

主演は藤純子、岸田今日子、小川知子、佐久間良子
共演は山田五十鈴、高橋昌也、岩崎加根子、宮園純子。カラー映画。

あらすじ

1710年頃、世も平らかになった六代将軍徳川家宣の治世である。
(第一話)
町娘おみのは、旗本の娘ふさの女中として大奥に入る。彼女は、主人おふさに目もくれない家宣に手を付けられ、お手付き中臈(ちゅうろう)となった。おみのは、お客会釈(あしらい)の松島からも目を掛けられる有望株だった・・・。

(第二話)
大奥には、将軍が夜伽の者と同衾している寝所に、お添寝の中臈が控える制度がある。篠の井はお添寝に任ぜられ、家宣の閨(ねや)での斎の局とのSEXを見せつけられた。翌朝、昨夜の興奮もあって篠の井はお年寄り浦尾に同性愛を打ち明け、強く結ばれた・・・。
(第三話)
お目見得以下の部屋子は、三年奉公であった。町娘の部屋子おちせは奉公が明けたら、恋人長吉と染物屋をやる夢を持っていた。おちせは和歌の読み手として優秀であった。上臈の飛鳥井は、公家の出だが、上様には相手にされず、和歌をおちせに詠ませて気を紛らわせていた・・・。

雑感

新井白石を起用するなど名君扱いされる徳川家宣って,夜はこんなにスケベな人だったのかw。
女性時代劇第一弾として岡田茂プロデューサーが仕掛けた作品だ。
もっとも1964年の東映「くノ一忍法」も女性時代劇と言えばそうだが。
女性時代劇なのだが、まだ女性向きの時代劇ではなかった。その後、女性向き時代劇は1968年の関西テレビ・東映製作テレビドラマ「大奥」として発展していく。
最近のTBSテレビドラマや松竹映画「大奥」シリーズは、漫画を原作にして男女を逆転させた新しい感覚のものになっている。
佐久間良子は、岡田茂の女性時代劇路線に反発して退社することになる。

小川知子は、女性時代劇でスターの座を掴みかけるが、次回作「続大奥(秘)物語」に出演した際にヌードを辞して退社し、歌手として「ゆうべの秘密」でデビューし、紅白歌合戦に出場した。

スタッフ

企画  岡田茂、翁長孝雄、松平乗道
脚本  国弘威雄、佐治乾、掛札昌裕、金子武郎
監督  中島貞夫
撮影  吉田貞次
音楽  鏑木創

キャスト

おみの  藤純子
おこん  宮園純子
おすめ  久保菜穂子
斎の局  三島ゆり子
おふさ  萩玲子
御台所  星野美恵子
玉岡  中村芳子
磯川  国友和歌子

浦尾  岸田今日子
篠の井  小川知子

おちせ  佐久間良子
飛鳥井  岩崎加根子
染物屋長吉  村井国夫
たみ  坂本スミ子

徳川家宣  高橋昌也
松島  山田五十鈴
ナレーター  渡辺美佐子

 

***

(第一話)
ところが、お部屋様のおすめが懐妊し、それを妬んだお部屋様おこんがおすめを堀に突き飛ばしたのでおすめは流産する。彼女の一派に属していたおみのは、お褥辞退の処置を受けた。おみのは松島と計って、秘かにヤクザの胤を宿し、二ヵ月後に懐妊が公にされると、おみのは跡継ぎの生母として、復権した。その功績により松島も御年寄筆頭に出世する。

(第二話)
だが、間もなくお手付き中臈となった篠の井が家宣の子を懐妊したとき、浦尾は嫉妬に狂い、篠ノ井に水銀を飲ませた。篠の井は流産し、井戸に身を投げた。

(第三話)
ところが、それが家宣の目にとまり、お手付きにされてしまった。飛鳥井は不憫に思い、城外に出たおちせは長吉と再会した。長吉はおちせ逃げようとするが、突然現われた伊賀者によって長吉は惨殺された。意を決したおちせは、家宣の寝所に入った。傍の将軍の小刀で家宣に斬りつけ、松島を刺し殺し、大奥に火を放ったのである。

大奥(秘)物語 1967 東映京都製作 東映配給 現代に至る「大奥」シリーズの元祖

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