日活が前年に公開した「若草物語」から、浅丘ルリ子が十朱幸代と交代した四人姉妹の物語。
1962年の大映作品(監督吉村公三郞、主演若尾文子)「家庭の事情」のリメイク。

あらすじ

三沢平太郎が定年退職した。その夜、長女一代と三女三也子が菊ご飯を作ってくれる。
男手一つで育てた四人娘のうち長女一代は結婚に破れたが、二美子は婚約したし三也子は元気で志奈子も素直な娘に育つ。次女二美子と四女志奈子は、50本の白バラのプレゼントを携えて帰宅する。三也子への謎の男性からのプレゼントだという。
平太郎は退職金を娘たちに五十万円ずつ分配して、後は自分のために使うと決める。一代は喫茶店の経営を考え、二美子は婚約者長田の商売を援助し、志奈子は競馬に賭ける。
数日後、白バラの君が平太郎を訪れる。彼は平太郎の勤めていた会社の重役尾崎の息子だった。三也子の珍しく燥ぐ姿を見て、友人久保隆太は面白くない。

数日後、三也子は尾崎に誘われドライブを行く。一方隆太はチンピラと喧嘩して腹を刺され病院にかつぎこまれる。隆太の母親代わりを自認する三也子は病院にかけつける。

四人姉妹は尾崎の出るレース場に出かける。そこで二美子は長田が他の女といちゃつくのを見てしまう。
数日後、隆太の老母が平太郎を訪れ、三也子を隆太の嫁に欲しいと申し込む。しかし三也子は尾崎からプロポーズされ両親に会っている。三也子は迷うが、一代は結婚は愛情だけでは上手く行かない、金を持った尾崎の方が良いと説得に掛かる。

今度は労組とのもめ事で怪我をした隆太が入院し、やはり三也子は隆太の看病に精を出した。たびたびの三也子の献身ぶりを見せられて、他の家族も自分の行いを反省する。

やがて二美子は浮気者の長田と別れ、一代と志奈子は喫茶店を経営し始めた。平太郎は金目当ての芸者玉子と別れ、娘たちのもとへ帰って来た。そして三也子は隆太は幸せを誓って歩いて行く。

雑感

大映の吉村公三郎作品と比べると、若々しさを売りにしている日活の西村克己監督作品の方に軍配は上がる。
1964年「若草物語」と比べると、吉永小百合が愛を貫く点は同じだ。他の三人と父親役笠智衆が浮ついた気持ちを冷まして現実的になるのも、「若草物語」で浅丘ルリ子が現実的な結婚を選ぶ点にある意味で似ている。

芦川いずみはこの時代は年齢的にもさすがにお姉さま役しかない。でも出ないよりマシである。
十朱幸代は外様女優(出身は松竹)らしく、不幸な恋愛に終わる。
なお、藤竜也と後の細君芦川いずみの絡みはなかった。
吉永小百合は青春女優としての一つのピークだった。高校生時代も良かったが、早稲田に入って色気が乗ってきた。
和泉雅子は相変わらず冒険娘の役柄である。
個人的には四人娘よりも、笠智衆の退職金を巻き上げようとしていた、横山道代が美しかった。

スタッフ

監督 : 西河克己
原作 : 源氏鶏太『家庭の事情」
脚色 : 三木克巳

キャスト(役柄)

芦川いづみ (長女三沢一代、バツいち、不倫に苦しむ。)
十朱幸代 (次女三沢二美子、中小企業二代目と恋仲。)
吉永小百合 (三女三沢三也子、父の会社に勤める主人公、二人の男性の間で悩む。)
和泉雅子 (四女三沢志奈子、花屋に勤めて、競馬大好きな娘)
笠智衆 (父三沢平太郎、定年退職した。)
浜田光夫 (三也子の幼なじみ久保隆太、学生で就職活動している。)
関口宏 (三也子の恋人尾崎良彦、いい家柄のお坊ちゃん)
藤竜也 (二美子の恋人長田吉夫、中小企業の二代目)
横山道代 (飲み屋の女、玉子、笠智衆に色目を使う。)
賀原夏子 (隆太の母とき)

四つの恋の物語 1965 日活製作・配給 再びの四姉妹映画

投稿ナビゲーション


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です