大正末から佐々紅華作詞作曲で二村定一が歌っていたが、1928年に時雨音羽の作詞でビクターから吹き込んで大ヒットとなった。
それから33年後、1961年にはフランク永井が同曲を吹き込んでリバイバルヒットし、同年レコード大賞を受賞した。
その歌謡映画として作られたのが、この66分の中編映画「君恋し」である。フランク永井は流し役で出演している。この人のヒット曲には必ずと言って良いほど歌謡映画が作られた。それだけビクターは歌謡映画化に熱心だったのだろう。でもフランク永井は一向に演技力は上達しなかった。
本作の主役は清水まゆみ、相手役は小高雄二。併映映画によく見られるバイプレーヤー同士の作品だ。
実生活ではこのお二人は結婚している。(その後の病苦についてはまた別の機会に)
Synopsis:
看護婦の明美は信州で看病した裕之を追って上京する。ところが裕之には婚約者由美子がいた。今さら村にも帰れず、明美は叔母の澄子のバーで働く。裕之は明美を捜し当てて、由美子とは別れると宣言する。裕之の父森近が汚職事件で由美子の父の身代わりとなって死んだため、森近は罪滅ぼしで由美子と婚約させたのだ。しかし裕之はこの婚約を嫌がっていた。それで由美子と一緒に暮らし始める。
ところが由美子は裕之を愛していた。そして裕之の気持ちが自分にないと知ると、自殺してしまう。
結局、いたたまれず明美も裕之の元から去っていく。
監督 森永健次郎
原作 時雨音羽 (「君恋し」の作詞者)
脚本 池みちる
脚色 岡田達門
企画 茂木了次
撮影 藤岡粂信
音楽 斎藤高順
配役
清水まゆみ 津村明美
小高雄二 宮坂裕之
フランク永井 流しの高井
清水将夫 森近庫二
原恵子 森近由子
明石佳子 森近由美子
東恵美子 岡本澄子
高野由美 宮坂ちか
相原巨典 速見駿作
波多野憲 小山田健