大学時代の学友たちが再会して、卒業後の人生を語りあう同窓会的映画
製作はマイケル・シャンバーグで監督・脚本は「白いドレスの女」のローレンス・カスダン
全編に60年代オールディーズ21曲が流れる。
出演はトム・ベレンジャー、グレン・クロース、ジェフ・ゴールドブラム、ウィリアム・ハートら。
アメリカではアカデミー作品賞、オリジナル脚本賞、助演女優賞(グレン・クローズ)にノミネートされた。

 

あらすじ

ミシガン大学の学生だった、ベビーブーマーの男女8人組は共に学生運動を戦い、強い連帯感で結ばれていた。
83年、仲間のアレックスが自殺し、葬儀が行われる。
学生運動の闘士だったアレックスは卒業後職業を転々として、最後は仲間のハロルドとサラ夫妻の所有するサウス・カロライナの広々とした土地の小屋を借りて、若い恋人と二人だけで暮らしていたと言う。
葬儀のあと、かつての仲間たちはハロルドの別荘で週末を過ごすことになる。現実主義者ハロルドは成功して運動靴販売チェーンの社長におさまり、妻サラは医師として働いている。二人の間には子供がいる。サムはTVドラマの探偵役でスターになっているが離婚した。美しいカレンは会社役員を勤める夫リチャードと一緒に来たが、夫だけ先に返し彼女は残って旧交を温める。ベトナム戦争の後遺症で不能になったニックは、今や麻薬漬けになっている。女好きなマイケルは雑誌記者で既婚だ。女性弁護士メグは社会福祉事業を辞めて弁護士を開業しているが、シングル・マザー志望で相手を探している。さらに、アレックスの恋人だったクロエがいるが学生運動と言われてもピンと来ない。
二日目はメグがサラにシングルマザーになりたいという夢を打ち明けていた。ニックはクロエとアレックスが暮らしていた家を訪れる。クロエにはニックがアレックスに似ているように見えたが、ニックは「俺じゃない」としか答えなかった。夕食をみんなで食べていると、サラは昔見たいと涙ぐむ。
三日目の朝ハロルドは「アレックスとサラが浮気をしていて、それぞれが悩んだ」とニックに打ち明ける。TVで母校ミシガン大フットボール部の試合を見て、昔のように騒いだ。夜、ついにアレックスの死因について語られる。サムは、「アレックスは生前からすでに死に体だった」と言うニックと口論し興奮して外に出ていく。アレックスを愛していたカレンがその後を追う。サムは離婚し、カレンも家庭内離婚状態だったので、暗闇で2人は求め合う。医師でもあるサラは夫ハロルドをメグに一晩だけ貸し出す。
翌朝、カレンは夫の元に戻ると言うが、カレンの家庭までは潰したくないサムは歓迎した。「ニックとクロエがアレックスのいた家に滞在することになった」とハロルドがみんなに発表する。何故かみんなは二人を祝福する。マイケルは定期的にここに集まろうと言い出した。マイケルは、ここでの思い出を本にすると張り切っていた。

 

雑感

この映画はコメディに分類されているから批評家評価点が低いが、群像劇でありコメディではない、ヒューマン・ドラマだ。
批評家と違い、一般観客や視聴者の評価は7点台。やはりヒット音楽だけでBGMに使った効果は大である。ざっと見ても、
悲しいうわさ」(マーヴィン・ゲイ)、「マイ・ガール」「エイント・トゥー・プラウド・トゥ・ベッグ」(テンプテーションズ)、「グッド・ラヴィン」「イン・ザ・ミッドナイト・アワー」(ヤング・ラスカルズ)、「トラックス・オブ・マイ・ティアーズ」「アイ・セカンド・ザット・エモーション」(スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ)、「ナチュラル・ウーマン」(アレサ・フランクリン)「青い影」(プロコル・ハルム)「テル・ヒム」(ジ・エキサイターズ)「バッド・ムーン・ライジング」(CCR)「ザ・ウェイト」(ザ・バンド)「男が女を愛する時」(パーシー・スレッジ)「素敵じゃないか」(ザ・ビーチ・ボーイズ)「愛しておくれ」(スペンサー・デイヴィス・グループ)
葬儀での送り出しの曲「無情の世界」(ローリング・ストーンズ)
ED「ジョイ・トゥ・ザ・ワールド」(スリー・ドッグ・ナイト)
と21曲もある。ある意味、「アメリカン・グラフィティ」よりも渋めの選曲だが、これは監督の奥様(音楽監督)が選んだものだ。
監督自身がミシガン大学で学生寮にいた時の思い出をベースにして脚本を書いている。
出演者にも2、3週間共同生活をしてもらって、友情を育んでもらった。
だから出演者の間にずっと昔から会っているような深い関係が見える。
監督も脚本でうまくハッピーエンドに繋げてくれた。この流れでは、かなり厳しいと思うが、ニックさえやる気になれば、幸せなひと時を過ごせるかもしれない。
 
アレックス役は若きジミー・ディーン風のケビン・コスナーが演じていた。映画の最後に10分ほど回想シーンで全員で食事を作るところを録った。しかし最初から最後まで映画を撮り終えてポスト・プロダクションの段階に入ると、最後の回想シーンが蛇足であること、さらに回想シーンの出来が完璧だったのがかえって本編との齟齬を生んだことから、回想シーンは全編カットになった。ケビン・コスナーはアンクレジットになったが、実はちゃんと出演している。最初の葬儀シーンの遺体役だ。最初の葬儀シーンの顔は映らないが、リストカットの後を縫った腕は写った。

公開から30年後に出演者、スタッフが集まりリユニオンを行なった。おじいさんとおばちゃんの集まりになってた。ケビン・コスナーはいなかった。あれだけ可愛かったメグ・ティリーも長く芸能界から離れて復帰を果たしたが、すっかり近所の伯母ちゃんになっていた。彼女は幼児虐待の被害者だから人一倍子供の教育には気遣った。

ちなみに原題の”The Big Chill” とは監督は学生運動の熱狂が冷めて途方に暮れる様子を表現したようだが、私は別荘にあった大型冷蔵庫のことを指していたのでないかと思った。集団生活には必須だから。

 

スタッフ

監督ローレンス・カスダン
製作マイケル・シャンバーグ
製作総指揮マーシャ・ナサティア 、 ローレンス・カスダン
脚本ローレンス・カスダン 、 バーバラ・ベネデク
撮影ジョン・ベイリー
音楽メグ・カスダン
 

キャスト

サム  トム・ベレンジャー
サラ  グレン・クローズ
マイケル  ジェフ・ゴールドブラム
ニック   ウィリアム・ハート
ハロルド  ケヴィン・クライン
メグ  メアリー・ケイ・プレイス
クロエ  メグ・ティリー
カレン  ジョベス・ウィリアムス
リチャード   ドン・ギャロウェイ
 

 
再会の時 The Big Chill 1983 カーソン・プロ製作 コロンビア配給 新宿シネマ・スクエア・とうきゅう1984年単館公開

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