女性ソフト・ロック・バンドがハリウッドで経験したほろ苦い青春を描いた作品。
しかし中身はホモセクシュアル、レズビアン、トランスジェンダー、裸のオンパレードで、XーRatedを付けられた超カルト映画

製作・監督はラス・メイヤー。彼とロジャー・エバートが共同原案を作り、エバートが単独で脚色した。
ゴキゲンな音楽はステュー・フィリップスが担当した。デラックスカラーのパナビジョン(2.35:1)作品。

主演は英国人でモデル出身ドリー・リード、シンシア・マイアーズと黒人モデル出身マーシア・マクブルーム。
共演はジョン・ラザー、デビット・ガリアン、マイケル・ブロジェット

ロック・グループの「ストロベリー・アラーム・クロック」と「サンド・パイパー」が特別に出演している。とくに「ストロベリー・アラーム・クロック」は一発屋ヒットの「Incense and Peppermints」を演奏している。

あらすじ

ケリー、ケイシー、ペットからなる女性ソフトロック・バンド「ケリーズ・アフェアー」は、ケリーの伯母スーザンを頼ってマネージャーのハリスを伴ってハリウッドにやって来た。

伯母は資産家であり、天才プロモーターのジーマン(Zマン)を紹介してくれる。バンドは「ケリー・ネイションズ」と改名して、ロック・ミュージックの寵児となった。

ケリーは、ロニーに紹介されてランスと親しくなる。いろいろな人物との関係が広くなった。スーザンのいかさま弁護士は、ケリーが遺産相続するべき額を減額しようと躍起だ。
黒人ドラマーのペットは司法試験を目指す彼がいるのだが、ヘビー級ボクシング・チャンプのランディに誘われる。
ケイシーは他の連中の馬鹿騒ぎに興味はないが、レズビアンであるロクサーヌに狙われている。

スーザンは姪ケリーに財産の3分の1を相続させる約束をしたが、スーザンの顧問弁護士ポーター・ホールはケリーらを「ヒッピー」と見下して、ケリーに財産に関する裏取引を持ちかける。

キャリー・ネイションズのメンバーの私生活に暗い影が落ちていく。ランスはケリーと別れる。ケイシーは出来心でハリスの子を身ごもる。 絶望したハリスは自殺を図った。一命を取り留めるが、後遺症が残る。ケリーは、かつての恋人ハリスに付き添う。 ペトロネラとエマーソンも、危機を乗り越え結ばれる。 ケイシーもロクサーヌの説得で妊娠中絶し、ロクサーヌと恋人になる。
スーザンは三年ぶりに会ったバクスターと婚約した。無断でケイシーに取引を申し込んだポーターは解雇された。

ある夜、ジーマンは彼のビーチハウスでランス、ケイシー、ロクサーヌを麻薬パーティーに招待する。ジーマンはランスと無理矢理に関係を結ぶが、ランスは女性のように膨らんだジーマンの胸を見て、メスブタと笑ったためジーマンに剣で首を飛ばされる。 さらにその場にいた召使いのオットーは胸を何度も刺されて死ぬ。別室で寝ていて逃げ損ねたロクサーヌとケイシーのカップルは銃で顔面を撃たれて殺された。ケイシーからの電話で駆けつけたケリーら友人達とジーマンは揉みあいになり、銃が暴発してジーマンは死ぬ。

事件が終わった後、ケリーとハリス、ペトロネラとエマーソン、そしてスーザンとバクスターのカップルによる結婚式が行われハッピーエンディングを迎える。

 

雑感

メジャー作品でありながら100万ドルの低予算に対して、1000万ドル以上の収益を上げた準成人映画。
まず音楽のセンスがど真ん中。ハードロックではなくサイケなソフトロックがバンバン掛かる。
作品は当時のハリウッドの麻薬による馬鹿騒ぎぶりを活写している。
チャールズ・マンソンでなくても、ヤクで頭のぶっ飛んだヒッピーが、いつか大量殺人を犯すような時代だ。

ロニー・ジーマンという役柄は、見た目は吸血鬼っぽいが、プロデューサーのフィル・スペクターをモデルにしているようだ。実際、30年以上後になって、女優ラナ・クラークソンの遺体がスペクターの屋敷で見つかり、彼は殺人容疑で逮捕され有罪判決が下りた。現在は麻薬治療施設に収監されている。
ランディ役は、モハメド・アリをモデルにしている。

ラストの殺人シーンは、最初の脚本に存在しなかった。制作中に起きた、マンソン・ファミリーによるシャロン・テート事件に刺激を受けて書き換えられた。
映画は最初シャロン・テートが出演した「哀愁の花びら (Valley of the Dolls) 」(マーク・ロブソン監督)の続編として企画された。前作の原作者で女優のジャクリーン・スーザンは、続編の内容を知り怒って訴えたが、結局冒頭に「これは哀愁の花びらの続編でない」と注意が挿入されることで納得した。
ワイルド・パーティー」の悪趣味は「オースティン・パワーズ」に受け継がれている。

スタッフ

製作、監督、原作 ラス・メイヤー
脚色、原作 ロジャー・エバート
撮影フレッド・コーネカンプ
音楽ステュー・フィリップス

キャスト

ケリー  ドリー・リード
ケイシー  シンシア・マイアーズ
ペット  マーシア・マクブルーム
ロニー・ジーマン(プロモーター)  ジョン・ラザー
ランス(二枚目俳優)  マイケル・ブロジェット
アシュレー(AV女優)  エディ・ウィリアムス
ロクサーヌ(レズビアンのデザイナー)  エリカ・ギャビン
ハリス(マネジャー)  デビッド・ガリアン
ケリーの裕福な伯母スーザン   フィリス・デイビス
ポーター・ホール(弁護士)  ダンカン・マクラウド
バクスター・ウルフ(スーザンの元カレ)   チャールズ・ネイピア
ジーマンの召使いオットー  ヘンリー・ローランド

 

 

 

 

 

 
ワイルド・パーティー Beyond The Valley of The Dolls 1970 ラス・メイヤー製作 20世紀フォックス配給

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