ピーター・ウェアー監督の出世作。この映画があったからこそハリウッドに呼ばれて、一連の名作「刑事ジョン・ブック・目撃者」「いまをいきる」「トゥルーマン・ショー」を作ることができた。
オーストラリアの大自然の撮影とパンフルートを使った音楽が印象に残る。
内容は少女のキャッキャうふふ映画と思っていると、意外にミステリーかとも思う。結局、結末はよく分からない。正解はファンタジーだったのか。
この映画が日本で単館ロードショーされた頃、水曜日の深夜テレビ「11pm」の映画コーナーでで今野雄二が実話に基づくと言っていた。しかし、それらしい資料も証拠も発見されていないので、きっと今野が宣材を鵜呑みにしたんだろう。
でも神隠しなんていつの時代も起きることだから、完全否定も出来ない。
あらすじ
1900年、オーストラリアでバレンタインデーは秋のピクニックに適した季節である。ヴィクトリア州の寄宿舎学校の女学生たちが引率の女教師マクロウとともにピクニックに出かける。そこでマクロウ先生の許可をもらい、ミランダ、アーマ、マリオン、イーディスがハンギング・ロックと呼ばれる小山の方を散策に出かける。イギリスから訪れていたマイケル少年はそのとき見掛けて美少女ミランダの姿が強く印象に残る。
しかし何時間経っても彼女たちは帰ってこなかった。マクロウ先生は半狂乱になって探しに飛び出していく。ミランダは帰らず、代わりにイーディスが体中傷だらけになり帰って来て、皆が消えてしまったと語る。
一週間経っても四人は見つからず、警察の捜査は暗礁に乗り上げた。マイケル少年はミランダのことが忘れられず、山に入って捜索活動を続行する。しかしマイケルも下りてこなくなり、彼の兄貴分でもあるアルバートがマイケルの登山経路を追う。アルバートはマイケルの残した印を見つけて彼を助け、岩の隙間に倒れていたアーマを発見する。アーマは生きていたが、何故かコルセットをどこかで脱いでいた。
寄宿舎学校のアップルヤード校長は事件発生のおかげで退学者が続出するのに頭を悩ませていた。一方、ミランダを慕っていたセーラも置いて行かれたような気持ちになり、沈みがちになる。アップルヤードは劣等生であるセーラにきつく当たり、授業料滞納を理由に退校を申し付ける。翌日、セーラは転落死しているところを発見される。実はセーラはアルバートの妹だった。追い詰められたアップルヤードは自ら山に入り、のちに死体となって発見されたそうだ。
雑感
まずオリジナル・カットを見た。ディクターズ・カットもあるが、上映時間でいうとピーター・ウィアー監督が不要と思った部分をカットして短縮したものらしい。しかしオリジナル版の方がわかりやすくて評判が良い。
ウィアー監督の作品は「刑事ジョン・ブック・目撃者」「いまをいきる」「トゥルーマン・ショー」を見ているが、いずれも主題に関係があるようだ。たとえば「刑事ジョン・ブック」の場合、聖なるもの(アーミッシュ)と俗なるもの(刑事、殺人事件)と言う二つの出会いと別れを描いている。まさに「ハンギング・ロック」も彼岸(彼女たちが消えた先)と此岸(俗世)の出会いと別れである。
校長役のレイチェル・ロバーツはウェールズ出身の名女優。英国アカデミー賞を何度も獲得している。レックス・ハリソンと再婚するが,再び離婚してしまい、そのことを苦にして自殺したそうだ。
スタッフ
監督 ピーター・ウェアー
製作 ハル・マッケルロイ 、 ジム・マッケルロイ
製作総指揮 パトリシア・ロヴェル
原作 ジョーン・リンジー
脚本 クリフ・グリーン
撮影 ラッセル・ボイド
音楽 ブルース・スミートン
美術 デイビット・コッピング
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配役
ミランダ アン・ランバート
アーマ カレン・ロブソン
マリオン ジェーン・ヴァリス
イーディス クリスティーン・シュラー
マクロウ先生 ヴィヴィアン・グレイ
アップルヤード校長 レイチェル・ロバーツ (「オリエント急行殺人事件」ヒルデガルト役)
マイケル ドミニク・ガード
アルバート ジョン・ジャレット
ダイアン ヘレン・モース
セーラ マーガレット・ネルソン