パリを舞台に描くフレンチ・恋愛コメディのオムニバス映画。

どれも良かったが、最初の「エラ」と最後のカトリーヌ・ドヌーブが若い演技を見せた「ソフィー」がとくに良かった。

あらすじ

「エラ」

エラ(ダニー・サヴァル)が急いでいて、タクシーに相乗りした謎の紳士が、エラの仕事場や部屋にも付いてくる。取り立てて気にもせず一晩泊めてやる。

エラは翌日オーディションに出かけると、そこにいたのはその紳士であり、他ならない大プロデューサーのパーカー氏(ダリー・カウル)だった。彼は一日掛けてエラを試していたのだ。その二ヶ月後、エラはアメリカでパーカー氏と結婚した。

「アントニア」

ピエール、アントニア夫妻(ダニー・ロビン、ジャン・ポワレ)がゴルフをしていると、クリスチャン(クリスチャン・レニエ)が現れる。アントニアは以前クリスチャンの恋人だったことがある。ピエールとクリスチャンはゴルフの試合をすることになったが、そのクリスチャンがアントニアを不感症呼ばわりしているのをアントニアは聞いてしまう。彼女は憤慨して、ピエールをゴルフの試合に勝たせようと思う。着飾ってクリスチャンの部屋を訪れたアントニアはそのままベッドイン。クリスチャンは見違えるほど感度が良くなったアントニアに興奮するが、彼女はもうこれっきりとつれない。アントニアのことが忘れられないクリスチャンは試合の最後のホールで集中力を欠いて短いパットを外してしまい、ピエールが勝利する。

「フランソワーズ」

アメリカに嫁いだフランソワーズ(フランソワーズ・アルヌール)が夫の浮気を知り、パリに帰ってくる。出迎えた友人ジャクリーヌ(フランソワーズ・ブリオン)はそんなフランソワーズを男の選び方が下手だと叱りつける。

仕事が入っていたジャクリーヌはフランソワーズの相手が出来ない。そこで自慢の彼氏であるミシェル(ポール・ゲール)にフランソワーズの食事に付き合ってもらうことにする。しかしその彼氏はあっさりフランソワーズの魅力の前に籠絡されてしまう。ジャクリーヌが戻ってくると、ミシェルはフランソワーズと一緒になることを告げるが、フランソワーズは夫が恋しくなったと言って、さっさとアメリカに帰ってしまう。

「ソフィー」

ソフィー(カトリーヌ・ドヌーヴ)はクラスの中で奥手であり、それが恥ずかしい。そこで女友達の部屋を「彼」との逢い引き部屋だと称して、同級生にわざとあえぎ声を聞かせる。ところが部屋の外に見張りが付いてしまった。そこで隣のアパートに移って脱出しようとするが、途中でジョニー(ジョニー・アリディ)という男の子と出会う。彼はギターのコンテストを明日に控えて、肝心のギターを壊してしまった。そこでソフィーはジョニーにギターを貸してあげる。ジョニーは感謝の気持ちで数曲演奏してくれる。お互いに淡い恋心を抱くが、ジョニーは明日の朝早くに大会のためベルギーに発たねばならない。ジョニーは、帰ったらいつでも遊びに来て欲しいと言って去る。

雑感

全般的にフランスらしくひねりの利いた作品ばかりだった。

「エラ」:

主役のダニー・サヴァルはコメディエンヌだが、その持ち味をフルに活かしたシンデレラ物語。ダニー・サヴァルはそれほど活躍していないが、イヤミがないお色気でバーバラ・イーデンのようなタイプ。

「アントニア」:

何故、妻アントニアは昔の恋人クリスチャンと一晩浮気をしながら、その後相手にしなくなったか?クリスチャンが夫ピエールより、よほど下手だったからだろう。

「フランソワーズ」:

50年代から60年代までフランス映画をリードした大女優フランソワーズ・アルヌール(石森章太郎の描いたサイボーグ009に出てくるヒロイン003の名前に使われている)がカトリーヌ・ドヌーブの前座を務めるとは意外だ。しかも入浴シーン付きとサービス満点である。第2部「アントニア」同様に大人の恋愛を描いている。

「ソフィー」:

カトリーヌ・ドヌーブの演技も台詞もまだまだ下手くそで、彼女の黒歴史だろう。ジョニー・アリディーの方が初映画にしては、しっかり演じていた。

この作品が良いのは、ひとえに監督の演出と脚本による。

最後のシーンで、ジョニー・アリディーがベルギーの大会に出場するため列車に乗っていが、座席一つを使ってギターを大切に置いている。座席を探している客が「そこを空けてくれ」と言うと、ジョニーは「ダメだよ、心の恋人が座っているのさ」と宣う。こんな恥ずかしくて気障なシーンは、1960年代にはアメリカ映画で見られなくなったものだ。

スタッフ

「エラ」:

監督:ジャック・ポワトロノー
脚本:ジャン・ル・ダバディ

「アントニア」:

監督脚本: ミシェル・ボアロン

「フランソワーズ」:

監督:クロード・バルマ
脚本:ジャック・アルマン

「ソフィー」:

監督脚本 マルク・アレグレ

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キャスト

「エラ」:

ダニー・サヴァル: エラ
ダリー・カウル: ヒューバート・パーカー

「アントニア」:

ダニー・ロビン: アントニア
クリスチャン : クリスチャン・レニエ
ジャン・ポワレ : ジャン・ピエール・ルロイ

 

「フランソワーズ」:

フランソワーズ・アルヌール : フランソワーズ
フランソワーズ・ブリオン : ジャクリーヌ
ポール・ゲール : ミシェル

「ソフィー」:

カトリーヌ・ドヌーヴ : ソフィー
ジョニー・アリディ : ジャン
エリナ・ラブーデット : ジャクリーヌ

 

 

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