カンヌ国際映画祭審査員賞受賞。

 
それまで広島の原爆投下と比較して隠れた存在だった、終戦間近の連合軍によるドレスデン爆撃にフィーチャーした作品。この映画で麦芽期の悲惨さを知ったという人も多い。
原作はボネガットの自伝的小説で、彼自身もドレスデン爆撃を経験した。
ポルノを扱っていることから、アメリカの一部で禁書扱いされた。
 

あらすじ

 
ビリー・ビルグリム(マイケル・サックス)は若くして第二次世界大戦に参戦し、捕虜となってからドレスデンであの爆撃に遭い、戦後は検眼院を経営して成功した男だが、いつの間にか彼の意志とは関係なく自分の経験の中でタイムトラベルするようになってしまう。
今はトラルファマドア星にポルノ女優のモンタナ(ヴァレリー・ペリン)と暮らす姿を宇宙人に観察されている。
あるとき、若いビリーはヨーロッパ戦線に戻ってきた。そこでアメリカ兵ラザロ(ロン・リーブマン)、ウォーリーとともにドイツ軍捕虜になってしまう。
次の瞬間、復員して検眼技師になり結婚している。ハネムーンでビリーは妻のバレンシアに抱きついていた。
再び、ビリーは戦場に戻っている。ウォーリーの腐った足をふみつけて死なせたと、ラザロに復讐を誓われる。ビリーは同じ捕虜ダービー(ユージン・ロッシェ)と知り合う。
結婚1年後のビリーの妻は身ごもり、検眼士として義父の病院を共同経営して、幸福な生活を送っている。
捕虜のアメリカ兵はドレスデンへ移送される、捕虜代表にダービーが選ばれる。
戦後のビリーはアメリカのチャーター機に乗り込んだ。飛行機は離陸直後に墜落した。
その手術中に意識はドレスデンの爆撃直後に戻る。ダービーが拾ったものをポケットに入れたのを咎められてナチスに射殺された。
戦後に意識が戻ると、緊急手術したビリーは助かったものの、妻バレンシアは自動車事故で亡くなった。自宅に帰ると、宇宙船が近づき、トラルファマドア星に拉致される。その後、つがいの意味でポルノ女優モンタナも拉致される。高次元存在であるトラルファマドア人は三次元生物の観察をしているようだった。
地球に意識が戻ると年老いたビリーに最期が訪れた。トラルファマドア教の布教活動中、フィラデルフィアでラザロに撃たれたのだ。
意識は再びトラルファマドアに引き戻される。モンタナが妊娠した。宇宙では彼らは不死身である。
 

雑感

ジョージ・ロイ・ヒルにとっては、「明日に向かって撃て」(1969)と「スティング」(1973)に挟まれた作品。

原作は、人生の時系列を入れ替えて見せるSF作品。どうやら高次元宇宙人に攫われたおかげで、そういう事態がビリー・ピルグリムに起こったらしい。

俳優のマイケル・サックスは人生を舐めているような顔で、気に入らないw。
本人も俳優に向いてないと思ったのか、引退してネットビジネスを始めたそうだ。

 

スタッフ・キャスト

監督 ジョージ・ロイ・ヒル
製作 ポール・モナシュ
原作 カート・ボネガット
脚本 スティーブン・ゲラー
撮影 ミロスラフ・オンドリツェク
 
配役
ビリー・ピルグリム マイケル・サックス
ラザロ       ロン・リーブマン
戦友ダービー      ユージン・ロッシュ
妻ヴァレンシア    シャロン・ガンズ
女優マンタナ      ヴァレリー・ペリン

スローターハウス5 Slauterhouse-five 1972 ヴァナダス製作 ユニバーサル配給

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