「踊る大捜査線」シリーズの本広克行監督が放つSF青春劇タイムマシンで今日と昨日を往来する大学生の騒動をコミカルに描く。原作・脚本はヨーロッパ企画の上田誠
主演は瑛太、上野樹里。共演・真木よう子、佐々木蔵之介

あらすじ

2005年8月19日、大学SF研究会の男子学生(甲本、新美、小泉、石松、曽我)は夏休みなので野球をした。その様子を部室が同じ写真部の女子部員唯だった。
打球で河童像は倒れ、管理人に注意される。管理人によると学校の建っている土地は元々沼だと言うことで、縁のある像らしい。
野球を終えた男たちは部室に一旦戻るが、銭湯に出かけることになるが、クーラーが付いているのに気付く。
写真部には春華が加わり、暗室で現像作業を開始する。全体写真に映り込む部室に人影が写っていた。
五人組は銭湯に行くが、そこで新美がヴィダルサスーンを取られたと騒ぎ出す。風呂場から出て来た時に「ツーペア」と銭湯のおばさんから言われる。
その後、甲本はデート用に映画のチケットを購入した。石松は、薬局のギンギンというキャラクターを盗み出して、部室に戻る。

甲本が部室に戻ってくると、SF研と写真部のメンバーが期待満々で待っていた。
曽我がはしゃぐと、アイスの中身が飛び出したことから連鎖反応を起こし、新見が持っていたコーラがこぼれて、クーラーのリモコンが壊れた。

翌日、クーラーがなしでは暑くて仕方がない曽我は、部顧問の保積先生に直してもらおうとする。ホセは直すことができず、イライラして折ってしまう。
部室では見知らぬマッシュルーム・カットの男子学生が入ってきた。男が立ち去ると、いつの間にか部室に大きな機械が置いてあった。見るからにタイムマシンっぽい感じだ。試しに昨日に設定してみると曽我と機械が消えた。しばらくすると曽我は戻って来て、「昨日に行った」と言った。

その時、唯が昨日撮った写真に、野球をする5人と窓から覗く曽我らしい人物の姿があることを思い出した。タイムマシンで曽我が昨日に戻った証拠だった。
石松が、昨日に戻ってリモコンを取りに行こうと言い出す。新見、小泉、石松の3人がリモコンを回収するために、昨日へ旅立つ。3人は昨日に戻り、リモコンがつくことを確認した。その後、部室に戻って来た「昨日の自分たち」を見た3人は尾行し始める。
今日の世界ではマッシュルーム男が戻って来た。彼は田村明と名乗る。ある日部活に来たらタイムマシンがあったので、田村が25年前にタイムマシンでやって来た。残った4人は町へ田村を案内する。
出会した相対性理論の研究者であるホセは、タイムマシンの存在を否定する。タイムマシンがあるとしたら、過去を改変することにより、全て消滅してしまうとホセは説明し、部員たちは慌てて部室に戻った。
とりあえず先遣部隊を回収するために甲本、曽我、田村が出発する。

ホセはタイムマシンを見て興奮している。昨日の世界にワープした直後、甲本と曽我は小泉と落ち合う。甲本は、酔ってしまった曽我を置いて、残り2人を探しにいく。
石松はギンギンを再び盗み出そうとしているところを見つけられた。新見は銭湯に行き、ヴィダルサスーンを盗んだ犯人を見つけようとしているところを捕まえられる。新見は盗まれる前にヴィダルサスーンを確保しようと思い、盗み出してしまう。
今日の世界の甲本は新見を連れて部室に戻りました。甲本は曽我に「これから行くから」と携帯に連絡を入れる。
今日の世界の四人はタイムマシンで部室に戻って来た。

タイムマシンを管理人に見られ、田村が気をそらすために河童像のところへ行き、河童の由来について聞くと昨日も聞いたと管理人は言う。タイムマシンを消すためにメンバーは曽我を乗せ、適当な過去に曽我を送った。
管理人は、この土地一帯は昔は沼地だったことを言い、ある日沼で河童が現れたことから、河童の像を作って地蔵として祀ったと語る。しばらくして全身を藻まみれにした曽我は戻ってきたが、リモコンを沼に落としたと言う。メンバーは困るが、2030年の12月19日にタイムリープした田村はリモコンを貰って戻って来た。リモコンを昨日の世界に戻してミッション・コンプリートしたかに思えたが、タイムマシンで今日の世界に帰る際、甲本が機械から落ちて、昨日の世界に残ってしまう。

言い訳していると、昨日の世界の自分が帰ってきて鉢合わせするので、部室のロッカーに隠れる。そのままずっと部員が居座ったためにロッカーの中で寝入ってしまう。そして翌日改めて起き出してみんなの前に顔を出したと言うわけだ。
そこへ大学の犬ケチャがリモコンを咥えている。そのリモコンは大昔の沼に曽我が持って行ったものだった。

騒動が終わってみると全ての筋書きが決められていて、自分たちはそれに従っただけなのではないかと伊藤唯が言った。
新見は大学の河童像を見て、99年前の河童はタイムトラベルした曽我だと気付いた。カメラを忘れた田村が戻ってきたが、そのカメラは柴田春華が使っているのと同じだった。田村は春華の息子だろうか。唯と甲本は二人の秘密にしようと誓い合う。

前もって誘われていた春華は映画デートを応諾するが、唯と秘密を持ってしまった甲本は複雑な気持ちだ。

雑感

舞台は設定されていないが、劇中で善通寺と香川大学、四国学院大学が出てくるそうだ。「UDON」「曲がれ!スプーン」と世界観を共通にしているらしい。
タイムマシン物としては、ジュール・ヴェルヌ原作映画「タイムマシン」の機械を使っている点に好感が持てる。謎解きの面でもなんとか辻褄を合わせている。
しかし、低予算のせいだろうが、学生の緩さが気に入らない。小説「時をかける少女」や米映画「ある日どこかで」のようにビターな雰囲気を出して欲しかった。
特に本広克行監督ということで期待したが、当てが外れた感じ。当時の若手スター勢揃いが、かえって仇になった気がする。
SF研五人組のうち瑛太川岡大次郎ムロツヨシは今やドラマの常連だ。
主役級の真木よう子が脇役にいるが、頭の回転が早い役で意外と瑛太とくっつくのは上野樹里でなく、こっちじゃないかと思わせる。

この作品は演劇集団「ヨーロッパ企画」の主催者上田誠が原作で、彼らの舞台劇として大成功を収めている。曽我役の永野宗典、田村役の本多力はヨーロッパ企画の座員である。

スタッフ

監督 本広克行
プロデューサー 本広克行 、 安藤親広
原作・脚本  上田誠
撮影  川越一成

キャスト

甲本拓馬  瑛太
柴田春華  上野樹里
新見優   与座嘉秋
小泉俊介  川岡大次郎
石松大悟  ムロツヨシ
曽我淳    永野宗典
田村明    本多力
伊藤唯    真木よう子
保積光太郎   佐々木蔵之介
他     升毅

 

 

サマータイム・マシン・ブルース 2005 ROBOT製作 東芝エンタメ配給

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