新しい年だからと言うわけではないけれど、もう一度70’sを復習しておきたいと思う。
80sがブームになったが、80sを生きた身には決して良い時代だと思わない。バブルにまみれて勘違いしただけの時代だった。
そんな時代に芸術ぶって芸能人が猫も杓子もアーティストと自称していたが、そのほとんどは芸術家ではなかった。
70sの方がよほどアバンギャルドだったと思う。
さて70年代を代表する音楽としてディスコ・ミュージックとクロスオーバー/フュージョンがある。クロスオーバー系がとくに好きなので、折に触れて取り上げたいと思う。
最初は代表的クロスオーバー・バンドであるザ・クルセイダーズを挙げよう。
テキサス州ヒューストンからロスアンジェルスに進出した60年代は「ザ・ジャズ・クルセイダーズ」という名でハードバップ・ジャズを演奏するグループだった。
パーソネルはジョー・サンプル(key)、ウィントン・フェルダー(ts)、スティクス・フーパー(ds)、ウェイン・ヘンダーソン(tb)の知る人ぞ知る変形二管カルテットだった。
音楽ファンにはジャズ・クルセイダーズ時代を懐かしむ者も多い。
1971年に「ザ・クルセイダーズ」に名称変更してギターにラリー・カールトン、ベースにロバート・ポップウェルを加えて時流に乗ったジャズ・ファンクを演奏するようになってから、若者にも人気が出るようになった。
1974年にはサザンロックやブラックミュージック色を強くした「サザン・コンフォート」(Southern Comfort)と題する二枚組LPをブルーサム・レーベルから発売する。
サザン・コンフォートとは19世紀末にニューオリンズで作られた甘口だが強めのリキュールのことで、南部の安らぎという意味がある。ジャニス・ジョプリンご愛飲のお酒だった。
ラリー・カールトンが地味なバッキングに徹した盤だったが、大ヒットしてジャズ・アルバム・チャート第1位、R&Bアルバムチャート第3位に達する。
この盤はアメリカだけでなく、日本でもヒットして、80年代フュージョンを嫌う輩にもいまだ愛され続けている。