監督 : デイヴィッド・リーン
製作 : ジョン・ブラボーン / リチャード・グッドウィン
原作 : E・M・フォースター
脚色 : デイヴィッド・リーン
撮影 : アーネスト・デイ
音楽 : モーリス・ジャール
 

配役:
ジュディ・デイヴィス(Adela Quested)
ヴィクター・バナルジ(Doctor Aziz)
ペギー・アシュクロフト(Mrs._Moore)
ジェームズ・フォックス(Richard Fielding)
アレック・ギネス(Godbole)
 

フォースター(「眺めのいい部屋」、「モーリス」、「ハワーズエンド」)の傑作を巨匠デビッド・リーンが演出した。
この作品が彼の遺作である。
第一次大戦後の英領インドの話。
公開当時から不評だった。
 

まず主役ジュディ・デイヴィスに華を感じない。
ヘレン・ボナム・カーターだったら違う映画になったろうな。
また主人公アデラが洞窟でこだまを聞いて、記憶が飛ぶと言うのもわかりにくい。
麻薬でもやってたんだろうかと思ってしまう。
原作を読んでないから詳しいことは知らないが、もう少し現代人には説明が必要なのではないか?
このあたりのデビッド・リーンの演出に物足りなさを感じる。
 

しかし原作はフォースターの名作だ。
異文化が接触して融和するかと思うけれど、結局うまくいかず別れる問題を描いていたと思う。
映画では二人が山登りで、手を繋ぐ一瞬がそうだ。
英国とインドが和合するかもしれないと思う瞬間。
英国人アデラは異文化(インド特有の密教的性文化もイギリス人には強烈だった。)に圧倒され、恐れが憧れを上回り、その場から逃げ出してしまう。
アデラが引き起こした訴訟(アジズに乱暴された、と彼女は訴えた。)はインド人の暴動を引き起こし、インド人と英国人の間で一触即発になる。
彼女は最後に勇気を振り絞って、訴訟を取り下げた。
 

イギリスはインドを占領して多くの教訓を得たと思う。
それは産業や軍事ではなく、精神的な部分でのインドの抵抗だ。
英国人の白人優越主義は、ずたずたに砕け散ったことだろう。
ついに英国人が彼らに受け入れられることは無かった。
そして英国人自身は、ここから先は行ってはいけない場所だと悟った。
 

「アラビアのロレンス」もデビッド・リーンの作だが、同じくアジアとヨーロッパの衝突を描いている。
だから彼らはイラクにも手を出してはならないことを知っているはずだ。
ブレア首相だけがわかっていない。
 

そのうえアメリカ人は全くわかってない。
あれだけベトナムで失敗したのに、アフガンやイラクに首を突っ込んで、抜けなくなってる。
一人殺されたら、子どもを十人殺している。
 

逆にアメリカに支配されている日本が、この映画のインドのように民族衣装に身を包み、攘夷に目覚めるのはいつのことだろうか?

インドへの道 1984 英国

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