2003/10/13(Mon) 12:10
監督:エミール・クストリッツァ
脚本:エミール・クストリッツァ、デュシャン・コバチェビチ
撮影:ヴィルコ・フィラッチ
美術:ミリェン・クリャコビチ・クレカ
音楽:ゴラン・ブレゴヴィッチ
出演者:ミーキ・マノイロヴィチ/ラザル・リストフスキミリャナ・ヤコビチ/スラブコ・ステイマチ/エルンスト・ストッツナー
ユーゴスラビアの現代史のお話である。
1941年に武器商人マルコは同志クロや弟イヴァンを地下に潜ませ、武器工場を作らせる。
女優ナタリアに心を奪われたクロだが、マルコも同様だった。
マルコはクロを戦後も戦争が続いていると仲間を騙して、地下にとどめて、女も金も独り占めしてしまう。
世はチトー時代に移り、ユーゴは平和を謳歌している。
しかしクロたちは、まだナチスによる戦争が続いているものだと信じていた。
クロらが40年ぶりに地上に現れたとき、ユーゴは再び内戦に陥っていた。
クロは何の違和感もなく、喜々として戦場に飛び出していく。
地上にいたマルコは、地下に長い間閉じこめていた弟イヴァンに見つかり、殺される。
ナタリアも兵士に撃たれて、体に火を付けられる。
クロは親友であった二人のなれの果てを見つめて、呆然とする。

三部からなる映画。
第一部は地下に潜り第二次世界大戦が終わるまで。コメディー調である。
第二部は平和だったチトー時代。
そして第三部が内戦時代。
第二部からずいぶん雰囲気が変わってくる。寓話的と言おうか。
40年も地下に閉じこめられているなんて、あるわけがない。
しかしさらに馬鹿馬鹿しいのが、ユーゴの現代史なのだ。
事実の方が、そして人間の実際の行いの方が、遙かに馬鹿馬鹿しい。
同じ監督の「黒猫白猫」より重い映画だ。好みではない。
音楽もいつもながらパワフルなのだが、心なしか重い。
しかし、戦争の悲劇性をこれほどまで、明らかにした映画は無いと思う。

アンダーグラウンド(1995年・フランス/ドイツ/ハンガリー)

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