(○)2009年のNFLドラフト1巡目でボルチモア・レイブンズに入団したマイケル・オアーのエピソードに基づくマイケル・ルイス(「マネーボール」)の原作小説「ブラインド・サイド アメフトがもたらした奇蹟」を映画化した。
監督・脚本はジョン・リー・ハンコック。
主演はサンドラ・ブロックとクィントン・アーロン。共演は、ティム・マッグロウとキャシー・ベイツ。
2010年のアカデミー賞においてサンドラ・ブロックが主演女優賞を受賞、ゴールデングローブ賞でも主演女優賞(ドラマ部門)を受賞した。
雑感
NCAAは、有望な選手が同居する後見人の出身大学に進むと調査が入るのだ!もちろん、他大学のクレームを受けてのことだろう。でも、選手の自由を重んずるという意味で、良いことなのかも知れない。
原題の「ブラインドサイド」とは、味方クォーターバックの利き手と逆、死角になる側の事で、右利きクォーターバックの場合は左側になる。パスプレイの際、クォーターバックの体は利き手側に向くため(右利きの場合右方向)、逆側は死角になりやすい。よってブラインドサイドのオフェンス・タックルは、オフェンス・ライン内でも高い能力が求められる。
映画の冒頭では1985年レギュラー・シーズンでワシントン・レッドスキンズのQBジョー・サイズマンがNYジャイアンツのローレンス・テイラーにサックされ再起不能となるショッキングなシーンが映し出される。こういう悲劇を起こさないためにも、オフェンス・タックルの存在価値は大きいのである。
サンドラ・ブロックのアカデミー主演女優賞は、長年の映画界への貢献に答える、特別賞的な意味があったように感じた。志の高い白人が黒人を教え導く映画は、見飽きた感がある。
キャスト
篤志家リー・アン・テューイ サンドラ・ブロック
心優しき黒人マイケル・オアー クィントン・アーロン
夫でショーン・テューイ(会社社長) ティム・マッグロウ
家庭教師スー夫人 キャシー・ベイツ
長女コリンズ・テューイ リリー・コリンズ
長男S・J・テューイ ジェイ・ヘッド
高校フットボール部監督バート・コットン レイ・マッキノン
スタッフ
監督・脚本 ジョン・リー・ハンコック
原作 マイケル・ルイス「ブラインド・サイド アメフトがもたらした奇蹟」
製作 ブロデリック・ジョンソン、アンドリュー・A・コソーヴ、ギル・ネッター
製作総指揮 ティモシー・M・ボーン、モリー・スミス、アーウィン・ストフ
音楽 カーター・バーウェル
撮影 アラー・キヴィロ
ストーリー
ミシシッピ州メンフィス。篤志家のリー・アン・テューイ(サンドラ・ブロック)は、雨に濡れながらとぼとぼと夜道を歩く黒人青年マイケル・オアー(クィントン・アーロン)を見つける。リー・アンは、オア-の母親が薬物中毒で養育先を転々と変えていることを知り、夫や子供たちの同意を得て、彼をひとまず自宅に住まわせる。リー・アンは、彼を高校のアメフト部に入れる。彼女は彼の防御本能を直観したのだ。彼女と家族の応援もあって、彼はオフェンス・タックルとしての才能を開花させ、テキサス州で話題になる。
オアーの問題は、学力不足だった。それでも彼は、民主党員の家庭教師のスー夫人に学び、奨学金に必要なGPA成績最低限を上回った。南部の有力大学からスカウトを受けたオアーは、テューイ夫妻の母校であるミシシッピ大学へ進学しようと考える・・・。
そこに意外なところから待ったが掛かる。NCAAの調査員は、ミシシッピ大学に進むことに関してリー・アンの意思が働いていたのではと疑いを持った。オアーも疑念を抱き、家を飛び出す。
地元に戻ると昔の仲間たちが歓待してくれた。しかし、白人を憎む彼らは、テューイ家を侮辱したので、オアーは再び飛び出していく。
リー・アンは車でスラム街を駆け回りオアーを見つけ出す。彼女は、最後は自分で大学を選びなさい、と話をする。それをのを聞いて、オアーは改めてミシシッピ大学進学を選ぶ。