言わずとしれた山本有三の名作だ。
この時点ですでに三度目の映画化だそうだが、この映画は太田博之の名演である。
思わず涙を誘う。
新藤兼人の脚本もいい。
お母さん役の原節子も親父の森繁久彌、伊勢屋の主人織田政雄、番頭役山茶花究も好演。
久松静児監督作品。

明治末期、小学校の級長をしていた吾一は憂鬱である。
呉服屋のどら息子・秋太郎は中学へ上がるのに、貧乏士族の息子である吾一は父の反対により、行けないのだ。
中学の入学式の日に、その呉服屋へ吾一は丁稚奉公に出される。
かつての友人秋太郎も吾一を伍作と呼び、使用人扱いだ。
そうこうするうちに、愛する母が病気で倒れる・・・

ラストで吾一が安芸の書いた難しい激励文を読んで、一体どういう意味だろうなあ、と考え込む様が可愛らしいし、意味が深い。
子供の頃に本を読んだときは、ただ単に吾一は可哀想だなあと思ったが、今見ると新時代に対応できなかった貧乏士族の恨み節だったんなあ。
これぐらい我慢できるだろうと思うことも多かった(笑)
プライドの高い子だ。
でもそのプライドが生きていく上で大切なのだ。
また、子供の可能性は無限大だと言うことを再確認した。
明治時代でも現代でもそうなのだ。
しかし現代は、大人がせっかくの子供の可能性を狭くしている。
子供たちに「路傍の石」を読んでもらいたい。
そして自分もこの映画に出てくる慶応中退・安吉(滝田祐介)となり、子供たちを見守りたい。
山本有三自身も丁稚に出たけれど、途中でケツを割って逃げ出したそうだ。
彼はその後、苦学して東大独文に進んでいる。

路傍の石