「透明人間」(1954)以来の特撮怪人もので、変身人間シリーズの第一作に当たる。ウルトラシリーズ、とくにウルトラQの原型だ。
「ゴジラ」同様にアメリカが行った水爆実験のためビキニ沖で被曝した第五福竜丸事件(1954)を基にしていて、さらに人類が液体化して一体となるという人類補完計画(新世紀エヴァンゲリオン)を採り上げている作品である。
監督は本多猪四郎、特撮は円谷英二、製作は田中友幸の特撮黄金トリオ。
主演は佐原健二、白川由美、平田昭彦。俳優座創始者千田是也も博士役で登場する。テントで真木博士(千田是也)が警察に指示を出すシーンでは、千田是也の後ろにチャッカリ部長刑事役の小沢栄太郎(俳優座)がいて笑う。
 

あらすじ

 
東京で一人の男が、衣服一切を脱ぎ捨てたまま消え去った。その男は、麻薬ギャング三崎と判明した。ある日彼の情婦だったキャバレー歌手千加子の前に、化学者政田が現われた。政田は三崎が水爆実験に関わっていないか尋ねた。
三崎が持ち逃げした麻薬の行方を探す西山も彼女を脅迫したが、彼は液体人間に溶かされてしまう。千加子からそれを聞き、政田は旧知の富永捜査一課長をある病院へ連れて行く。二人の患者は水爆実験で行方不明となった第二竜神丸を発見し乗り移ったが、液体人間が現れ、二人だけようやく逃げ帰ったと語る。
頑迷な警察も次第に液体人間説を信じるようになり、化学者と協力して、液体人間を下水に追い込み、火炎放射で全滅させることを図る。そんな騒ぎも知らず、ギャングの内田は横恋慕する千加子を誘拐し、麻薬を隠したマンホールに潜った。しかし内田は下水道に現れた液体人間に殺される。警察はガソリンを下水道に播いて火炎放射で液体人間を倒し、政田は愛する千加子を救出した。東京の下町はマンホールから湧き上がる炎で火の海になった。
 

 

 

雑感

 
“The H-Man” は輸出用の英題である。Hは水素爆弾の水素のことで、Hydrogen の略だ。
名詞の数は単数形だけど、実は溶かした人間の統合体で、そのうちの誰かの思念で動き出す。大チャンこと大村千吉が船上で殺されたのは、溶かされた船員の服を着たせいだ。佐藤允演ずる内田が殺されるのも、三崎が千加子を毒牙から守ろうとしたためだ。まさに液体人間は人類の進化形である。
 
原作者である俳優海上日出男は「地球防衛軍」の出演中にミステリアン星人のスーツを着てアレルギーだろうが、急死した。そのため、「地球防衛軍」「美女と液体人間」ともに見ていない。
 
千加子役白川由美のシミーズ姿が見られるが、怒り肩のせいであまり色気がない。
 

スタッフ・キャスト

 

監督 本多猪四郎
製作 田中友幸
原作 海上日出男
脚色 木村武
撮影 小泉一
特技美術 渡辺明
特技監督 円谷英二
音楽 佐藤勝

 

 

配役
科学者政田   佐原健二
クラブ歌手新井千加子   白川由美(歌の吹替:マーサ三宅)
富永刑事課長   平田昭彦
宮下部長刑事  小沢栄太郎
坂田刑事   田島義文
田口刑事   土屋嘉男
関刑事   中丸忠雄
楠田刑事部長  山田巳之助
真木博士  千田是也
内田  佐藤允
三崎  伊藤久哉
岸   三島耕
花枝  北川町子
ダンサー 中田康子
大チャン  大村千吉
液体人間、最初の犠牲者  中島春雄
 

 

美女と液体人間 The H-Man 1958 東宝東京作品 変身怪人シリーズ第一弾

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