おそらく長谷川伸「瞼の母」五度目の映画化だと思う。
戦前に片岡千恵蔵が二度、東宝で長谷川一夫、
戦後は大映が三益愛子の母もの(番場忠太郎は堀雄二)で一度映画化されている。
そしてこの新東宝では主演に若山富三郎、監督は中川信夫を起用。
その後、東映で中村錦之助、松竹で橋幸夫が演じている。
舞台で主役を演じていた島田正吾は、映画では演じていないと思うのだが、不思議である。
この「番場の忠太郎」は前半で松竹の桂木洋子をフィーチャーしている。
どちらかというと若い女優は妹役のお登世役が多いのだが、桂木はおぬいの役である。
垂れ目の彼女はカツラをかぶると一段と美人に見える。
(彼女は後の黛敏郎夫人である。黛敏郎の講演を学校で聴きに行き、静かにしたまえと叱られた覚えがある。)
おぬいの兄半次はやはり松竹の三井弘次である。
とぼけた味を出していて嬉しい。
また青木一作という関八州見回り役で森繁久彌が出ている。
実に美味しい役である。
三井弘次と顔合わせはない。

 
忠太郎を演ずる若山富三郎って人はいくつになっても変わらない。
大好きな役者さんだが、この役にはあまりに重厚すぎる気がする。
瞼の母役山田五十鈴は納得させる演技である。
やはりこの映画のタイトルロールなのだから、母役は重要だ。

番場の忠太郎(1955) 新東宝

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