「オカッパル」こと歌手岡晴夫が戦後の全盛期に主演した歌謡映画。それ以前に「憧れのハワイ航路」と言う新東宝映画を美空ひばり共演で撮ったが、この映画はそれから二本後の出演作だ。

 

あらすじ

 

圭一(岡晴夫)は香取氏(柳家金語楼)の書生だったが、娘のよう子(野上千鶴子)との縁談を勧められその夜に消えてしまった。
実は、圭一は戦前にエミ(高杉妙子)という恋人がいたが、出征中に彼女は行方不明になってしまった。彼女のことが忘れられず、少しでも彼女の目に触れる機会を得たいがため、音楽サークルである青空楽団に入団して青空コンサートで歌い始めた。
ところが、エミは生きていた。しかし空襲で視力を失い、香取氏の経営する広告会社で街頭放送のアナウンサーをしていたのだ。
一方、よう子は圭一のことが忘れられず泣いてばかりいる。不憫に思った香取氏はエミの身の上を知った上で、娘よう子のために身を引いて欲しいと泣き付く。
エミは、圭一の将来のためにも身を引こうと思い一芝居打つが、圭一に悟られてしまう。
結局、圭一は全盲のエミと暮らすために、歌謡コンクールに出場し優勝を飾る。
これはラジオで放送されていて、よう子も香取氏も今までのことを見ずに流して大いに喜んでくれた。

 

雑感

 

良くあるタイプのメロドラマだ。ヒロインが視力を失ったため、自ら身を引こうとして、芝居を打つが、まんまとバレてしまい、かえって二人の結びつきが強くなると言う。
最後に岡晴夫が歌謡コンクールで優勝する辺りは映画版「愛染かつら」のようでもある。
新東宝フリークとしては、なかなかのめっけ物である。

岡晴夫の歌は伯父が好きだったから、良く聞いていた。「泣くな小鳩よ」は1947年のヒット曲で「憧れのハワイ航路」(1948年)より古い曲である。従って歌謡曲「泣くな小鳩よ」だけでなく、上映当時の曲の歌唱シーンもある。でもどれも「泣くな小鳩よ」と同じ曲想に聞こえた。また岡晴夫の演技は歌同様に生真面目なタイプ、要するに不器用だ。

高杉妙子はどちらかと言うと戦前の方が有名だった。松竹ではひとつ年上の高杉早苗(市川猿翁の母、香川照之の祖母)の寿退社と入れ替わりに松竹で活躍したが、戦後はレンタル女優となり冷遇されたようだ。そのおかげでテレビドラマ(5分もの)版の初代サザエさんの座を射止め、歴史に名を残す。

 

スタッフ

 

制作 青柳信雄
監督 毛利正樹
脚本 佐谷流平
撮影 友成達雄

 

 

配役

 

圭一  岡晴夫(キングレコード)
エミ 高杉妙子(松竹)
よう子 野上千鶴子
よし江 宮川玲子
香取夫人 一の宮あつ子
香取氏 柳家金語楼(金プロ)

 

 

 

 

泣くな小鳩よ 1950 新東宝 – 岡晴夫の歌謡メロドラマ

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