当時松竹と提携していた創造社製作作品。松竹映画「進め!ジャガーズ 敵前逃亡」の併映映画である。フォークルが大島渚監督を指名したそうだ。シンガーの人気から言って「帰ってきたヨッパライ」の方がはるかに上のはずだが、映画の面白さはジャガーズの方が格段に上だった。
主演はフォーク・クルセイダーズの三人に東映から客演の緑魔子、創造社の常連である佐藤慶、殿山泰司、小松方正、渡辺文雄、戸浦六宏が加わる。
内容は「帰ってきたヨッパライ」とほとんど関係ない。韓国軍事政権のベトナム戦争参戦を問題にしており、「イムジン河」の方がどちらかと言うと近い。
「帰ってきた…」と共通点があるとすれば、途中で三人は殺されるが、気が付くと最初の海水浴の時点に戻ってくるのだ。 所謂「生き戻り」を起こすわけだ。そこから再び事件が起きるが、最初の記憶が完全に残っているため、結果ががらりと変わる。

Synopsis:

フォークルの三人は日本海に遊びに来ている。そこで海水浴を楽しむが、韓国の脱走兵(当時アメリカの同盟国としてベトナム戦争に駆り出されていた)に北山端田の服をすり替えられる。(加藤は大きすぎて着ることができなかった) 仕方なく、北山は軍服を着るが逃亡兵としてタバコ屋の婆さん(殿山泰司)に密告され、逃げ回る羽目になる。銭湯に行くと、謎のネエちゃん(緑魔子)に他人の服を盗みなさいと教えられる。そこで銭湯の脱衣所で服を盗んで外に出る。すると韓国人の脱走兵(佐藤慶)がフォークルの服装で現れ、銃を向ける。フォークルを殺して、韓国人同士が殺し合った事にするつもりだ。しかし隙を見て金的して逃げ切る。しかし韓国兵の服を再び着せられていたため、日本の警察に逮捕され強制送還されてしまう。そしてベトナム戦争に送り込まれる。
そのときネエチャンはやって来る。気が付くと逮捕されたのは夢で、朝が明けただけだった。
ネエちゃんに北山と端田は女装を用意してもらい、ネエちゃんが脱走兵の服を着てトラックを乗り込み東京に戻ろうとする。ところが途中でネエちゃんの情夫、毒虫(渡辺文雄)がネエちゃんを追いかけて来た。トラックから引きずり降ろされたフォークルの三人はネエちゃんを見捨てて、列車で東京へ向かう。その列車には毒虫もネエちゃん、脱走兵も乗っていて三人はトイレに押し込まれてしまう。
列車を降ろされた三人は毒虫を身代わりに殺すことで脱走兵との間で話が付いていた。ところがネエちゃんが毒虫を助けて、韓国人同士で殺し合いなんてしないでと言ったもので状況は変わる。毒虫夫婦は同胞の脱走支援も生業にしている韓国人だった。
場面は変わって、加藤和彦が雑踏で「あなたは韓国人ですか」とインタビューしている。大概は韓国人らしい顔をしていて、流暢な日本語で「韓国人です」と答える。そのうちに映画スタッフが出てきて「韓国人です」と言い出し、大島渚まで「韓国人です」と言う。
再び場面が変わると、再びトイレの中に戻り、トンネルの喧騒に紛れて脱走兵が銃を連射している。ここまで映画が始まって38分である。
突然最初の海水浴シーンに三人は戻ってしまう。しかし前回の記憶は残っている。デッドエンドにならないコースを選びながら夜を迎える。しかし北山が再びネエちゃんに会いたいと、銭湯に入りたがる。それが間違いの始まりだった。脱走兵に銃を突きつけられるが、三人は自分たちこそ韓国人だと主張して、難を逃れようとする。そしてネエチャンと毒虫が登場し、金次第で東京まで逃してあげようと言う。
そうして逃避行を続けているうちに、北山と端田は自分たちが韓国人である気分になってしまう。一方、加藤だけはそう言う気分にならない。
北山はネエちゃんを愛する余り、毒虫を射殺してしまう。これに対して、ネエちゃんは北山に「韓国人は韓国人を殺さない、貴方は日本人だ、次に会うときは殺してやる」と言って去る。
三人は列車に乗り換えるが、そこには脱走兵とネエちゃん、死んだはずの毒虫がいるではないか。また三人はトイレに立てこもる。脱走兵はトンネルのたびに銃を発射してくる。
ところがあるときから銃声がしなくなった。日本の警察に逮捕されたのだ。
そして脱走兵は強制返還されて戦場に送り込まれてベトコンを大勢殺すだろう。そして最期は逆にベトコンに捕らえられ処刑されるのだ。

Impression:

言いたいことはわかる。韓国人だって全ての兵がベトコンを殺したいわけじゃなかった。そうしなければ、ベトコンに殺されるからだ。
ベトナム戦争が無駄な戦争であって、東西両方とも無駄な血を流した。韓国人は徴兵制だから忌避する訳にもいかず、自棄っぱちでベトコンの中で戦ったのだ。民間ベトナム人を殺したり犯したりしたのは、許されるわけではないが、ゲリラ戦法を採られると、全てが敵に見える。
そこのところをあまり突っつくと、韓国人の日本人に対する憎悪を一層煽るだけだ。放置するか、日本がベトナムと韓国の橋渡しをするぐらいの度量を見せなければ、日本のアジアでの地位は低下する一方だ。
しかし加藤和彦のやる気になさは何故だ?
おそらく大島渚を監督に指名したのは、インテリの北山修だな。
北山は一生懸命演じようとしているが、あまりに下手すぎる。関西弁なのに感情を必要以上に加えようとするため、破綻している。
二人に比べて、端田宣彦は無難だった。彼を主演にした方が出来は良かったと思う。
加藤と北山の素人演技を見せられていると、頭にくる。
大島監督もゴダールの真似がしたかったのだろうが、主義主張の押し付けが強くて、呆れる。
大脚本家(一人は監督自身)が四人も集まって、1時間20分の長さで説得力に乏しいというのは悲しすぎる。船頭多くして船、山を登ったか?

Staff/Cast:

監督 大島渚
製作 中島正幸
脚本 田村孟 、 佐々木守 、 足立正生(この後日本赤軍入り)、 大島渚
撮影 吉岡康弘
音楽 林光
出演:
北山修 中ノッポ
端田宣彦 チビ
加藤和彦 大ノッポ
佐藤慶 脱走兵
渡辺文雄 毒虫おやじ
緑魔子 ネエちゃん
殿山泰司 煙草屋の老婆
小松方正 漁師
戸浦六宏 警官
車大善 脱走兵に付いて来た韓国の若者
帰って来たヨッパライ 1968 創造社制作 松竹配給 時代に付いて行けなかった大島渚監督

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