日本では珍しい、数学者夫婦の愛をコミカルに描く作品。
(松竹風「ビューティフルマインド」)
松山善三が脚本を書いて、渋谷実が監督した。
前年に文化勲章を受けた岡潔がモデルかと思われる。
大仏様に話しかけるという、奇妙な癖を持つ岩下志麻は奈良市役所の同僚川津祐介と相思相愛の仲である。
まずは川津の姉乙羽信子が岩下の母淡島千景を訪ね、縁談をすすめることを確認した。
岩下の心配の種は父笠智衆である。
実は両親は実の親ではない。
それだけに父は娘と離れがたく思ってる。
一方、川津も世間体を大切にする祖母北林谷栄が、実の娘でないことで反対するのではないかと恐れている。
しかし二人とも一騒動あったが、最終的に結婚に賛成してくれる。
奈良の大学の数学教授である笠が文化勲章をもらうことになり、久しぶりに夫婦で上京した。
貧乏なので学生時代の下宿に泊まることにする。
授賞式は無事終わるが、その夜、泥棒の三木のり平が下宿に現れ、勲章を盗み出した。
おかげで笠夫妻は追いつめられていく。
カラー作品。
典型的松竹家庭喜劇である。
おそらく笠智衆をイメージして松山善三が書いた脚本だろう。
前半から岩下と川津が飛ばしてしまい、後半の三木のり平菅井一郎の絡みは、今ひとつ盛り上がりきらなかった。
後半はコミカルな芝居を避け、娘と両親のシリアスなお涙頂戴に持っていった方がまとまったのではないか?
岩下志麻は前年に映画デビューして、この年既に「あの波の果てまで」の主演になり、スターの座を射止めていた。
(1958年にNHK「バス通り裏」でデビュー。)
スマートでちょうどタレ目が一番可愛らしい時期だ。
岡田茉莉子小山明子有馬稲子も彼女の清新な魅力の前では吹っ飛んでしまった。
しかし彼女も松竹家庭劇の枠に押しつけられるのを嫌って、次第に真の女優として目ざめてゆく。
淡島千景もこの年は脂が乗りきっていた。
この映画では押さえた演技をしているが、そのときの方が彼女には存在感がある。
また自分の年齢より年上を演じたときが生き生きしている。
ただ、高峰三枝子(東京の女将役)を相手に笑ってる芝居は、何故か「この二人は仲が悪いんじゃないか」と思わせるものがあった(笑)

好人好日(1961) 松竹

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