加山雄三の青春ものとしては「リオの若大将」の後の作品。酒井和歌子内藤陽子とは初共演だそうだ。この作品の成功で、酒井和歌子はスミちゃんこと星由里子の後継者に最終決定したのかもしれない。

 

 

鉄平(加山雄三)と節子(内藤洋子)の近親相姦的兄妹関係を基調にして話は展開する。何度見合いしてもその気にならない鉄平が、同僚だった和子(酒井和歌子)と遠く離れることで彼女に対する愛情を自覚し初めてプロポーズする。一度は家庭的境遇の差を考えて和子は身を引こうとする。節子は兄貴を誰にもやりたくないと考えていたが、色々なことを経験して人生は綺麗ごとでないと知り、勇気を出して「兄貴と一緒になってくれ、あなたじゃないと兄貴は駄目になる」と和子に直談判する。

 

この映画を見ていて、豊浦美子、小林夕岐子、中山麻里、白川由美を袖にして、阿佐谷に住む親が病気の酒井和歌子を福岡支店に連れて行くなんて、何て自分勝手なのだと思う。でも加山雄三は今の間尺似合わない、スケールの大きい男性だから、細かいことを言うべきではないのかもしれない。
要するに今のように男性が女々しくなった世の中では、2度と作られない映画だ。

 

 

当時の酒井和歌子はこの世のものとは思えないほど可憐で美しい。星由里子の魅力とは全く違うが、時代にマッチしたアイドル性を抱えていた。スレンダーな女子が好みの自分は、ど真ん中であり、和歌子派だった。
ただ残念なことに、この人は演技をしても奥の部分を誰にも見せないんだ。何を演じても迫真の演技だと感じられることが無かった。
中村雅俊と共演した「われら青春」までは良かったが、イメチェンを図った「気まぐれ天使」(大原麗子が異動した後の部長役)の頃は、坪田直子の方が可愛くなった。多分、酒井の役の選び方が下手だったと思う。
いつだったか東宝の大先輩小泉博が司会を務める「クイズ・グランプリ」に出演してニコニコしながら一問も答えず終わったのは、ファンとして見ていて情けなかった。お馬鹿と思われて間違えても美味しいじゃないかと思ったものだ。
だからこそ、1975年以前のスレていない頃の彼女を見ていると、モヤモヤと甘酸っぱいものが湧いてくるのだ。

 

 

この映画は1970年10月から12月までフジテレビ系でテレビドラマ化されている。主演は夏木陽介(兄)、森和代(妹)で兄妹の関係に重点を置いて描いている。翌年正月から3月までは「兄貴の結婚」というタイトルに改めて続編が放送された。当時は、90分足らずの映画から30分26話分のドラマを作ったのだ。
ちなみに森和代は雑誌「装苑」のモデルだったが、1970年の映画「赤頭巾ちゃん気をつけて」で女優デビューした。ボーイッシュなショートカットで、棒読みの台詞が思春期真っ只中の学生たちに愛されたアイドル的存在。
それが2本目の映画「初めての旅」に出演すると、さっさとあの憎っくき森本レオと結婚して引退してしまった。
後の彼女のご苦労が思いやられる。

 

 

主題歌は加山雄三自身が歌う和製ソフトロック。夏に聞きたい曲だ。

 

 

監督 森谷司郎
製作 藤本真澄 、 大森幹彦
脚本 井手俊郎 (オリジナル作品)
撮影 斎藤孝雄
音楽 佐藤勝
主題歌 加山雄三「雲の果てまで」

 

 

出演
加山雄三 (北川鉄平)
内藤洋子 (妹節子)
宮口精二 (父)
沢村貞子 (母)
酒井和歌子 (野村和子 )
江原達怡 (和子の兄弘吉)
東郷晴子 (和子の母)
岡田可愛 (鉄平の同僚久美)
白川由美 (バーのマダム玲子)
ロミ山田 (節子のピアノ教師藍子)
中山麻理 (見合い相手 中井緑)
豊浦美子 (見合い相手 西田京子)
小林夕岐子 (見合い相手 岩本佐知子)
悠木千帆 (鉄平の同僚の妻)
清水紘治 (和子の友人、矢代)
東山敬司 (節子のBF水谷)

 

 

 

兄貴の恋人 1968 東宝 シスコン兄貴とブラコン妹に挟まれたマドンナ酒井和歌子

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