ジャン・ジャック・ベネックス監督が86年に演出した「ベティブルー」を再編集して、3時間版とした大作。
狂気に走る女と、そんな女を愛してしまった男の悲劇。
泣いたり笑ったりする映画ではない。
ただ、愛の深さを思い知らされるのみ。
ゾルグは作家を夢見る青年。リビエラのバンガローの管理人をしていたが、激しい気性の女ベティと出会い、深く愛し合う。
仕事をさぼったため、彼は首になり、ベティは住んでいたバンガローに火を付けて逃げる。
ベティの友人を頼ってパリに出た二人は、気の良いピザ屋の主人と知り合い、意気投合する。
しかしピザ屋の職にありついても、ベティは気に入らない客と刃傷沙汰を起こす始末。
ベティはゾルグを作家にするという夢に賭けていたのだ。
ピザ屋は彼らを心配して、田舎のピアノ屋を一軒任せることにした。
田舎での生活は順調だったが、妊娠検査が陰性に終わってから、一層彼女はおかしくなり始める。
ゾルグは彼女を慰めようとするが、子供を誘拐しようとする始末。
やがて彼女は発狂してしまう。そんなとき、出版社から彼の許に出版の知らせが届く。

愛情が深いのは、異常だが、不幸ではない。
フランス映画と人形浄瑠璃に共通する基本原理だ。
ただ、この映画のベティに関しては、愛情が深すぎて異常になったというより、最初から異常だったように思える。
愛情が相手を受け入れる愛ではなく、一方通行、思いこみの愛だ。
そして、そんな愛があったからこそ、ゾルグは作家への道を目指すことができたのだ。
ただ、最後はゾルグもベティを死なせてやるしか、できない。
そして彼は生きて、書き続ける、彼女との愛の想い出を。
日本人なら心中するところだが、一人生き残るところが、フランス人だな。
なお、この監督の作品では、撮影も映画音楽も秀逸。
彼女の精神状態の良い時期と、悪い時期が交互に出てくるのが、ちょうど良い緊張感を生み、三時間、決して緩まない。