シドニー・ルメット監督、アル・パチーノ主演でお送りするNYPD腐敗刑事ものの代表作。
実話である。
アル・パチーノにとっては「ゴッドファーザー」の次の仕事だ。
麻薬捜査官が売人から上がりの一部を受け取っていた。
セルピコは同僚を告発すべきか悩む。
社会派映画としては、良くできている。
実録ものの「フレンチコネクション」やのちの「LAコンフィデンシャル」のエンターテイメント性と好対照だ。
アル・パチーノ演ずるセルピコが警官になって、汚職に巻き込まれ、不正を告発し、他の刑事(F.マーリー・エイブラハムがノンクレジットで出演。)に見殺しにされそうになり、一命を取り留めるまでを、シドニー・ルメット監督お得意の「冷めた目で」追っている。
でもシドニー・ルメットの冷めた目も、さらにのちの時代の冷めた人間が見ると違う見え方がする。
セルピコはいささか潔癖に過ぎて、異様な感じがした。
汚職問題が元でガールフレンドとも次々と別れている。
しかし実のところ、GFとの仲がうまくいかず、それがために、不正告発をやったとも考えられる。
事件については、100ドルの小さな賄賂から、最後は30000ドルの大きな話まで出てきたが、警察も麻薬売人も小物しか出てきていない。
マフィアのボスが当然噛んでいるはずだが、そのことには全く触れていない。
トカゲのしっぽ切りが行われたか?
(もちろん、そんなこと大陪審の前で喋ったら、スイスにいても蜂の巣にされるだろうが。)
ユダヤ人の警視が、アイルランド人とイタリア人が多いNYPDで、たった一人の「いい人」の役で出てくる。
NYの観客は満足して帰ったことだろう。
アメリカよりも遅れている、日本ではようやく組織ぐるみの不正経理問題が話題だが、誰もそんなちっぽけな事件で映画を作る気にはならないと思う。
しかし今の不正経理問題が氷山の一角であることは明らかだ。
背景にはもっとどす黒いものがあるやも知れぬ。
でも警察は隠しおうせるだろうな。
誰か派手な内部告発をしてくれないだろうか?日本版セルピコになる人はいないか?