プレコード時に公開された、コメディ部分が充実した傑作ミュージカル群像劇
監督は名匠マーヴィン・ルロイ
ミュージカル演出はバスビー・バークレー、作曲ハリー・ウォーレン、作詞アル・ダビン
原作は1919年に上演されたエイヴァリー・ホップウッドのブロードウェイ同名舞台劇。元々は戦争や戦後不況を描いたものだった。1923年の「百花笑えば」と1929年の「ブロードウェイ黄金時代」の二度映画化されている。
脚本はアーウィン・ゲルシージェームズ・シーモア。台詞はベン・マークソンデイビット・ベーム

主演はウォーレン・ウィリアム、ジョーン・ブロンデル
共演はディック・パウエル、ルビー・キーラー、アリーン・マクマホン、ガイ・キービー、ネッド・スパークス、ジンジャー・ロジャース
白黒映画。

あらすじ

ホプキンスのミュージカル練習で「ゴールド・ディガーズ」のメンバーであるフェイが「We’re in the Money」を歌っているとき、ホプキンスの債権者たちがやってきて、芝居道具を差し押さえ公演も中止にする。

他の出演者であるポリー、キャロル、トリキシーはアパートを借りてルームシェアしている。朝食後、向かいのアパートから売れない作曲家ブラッドの美しい歌が聞こえてくる。
三人の部屋にプロデューサーのホプキンスが現れる。ポリーは、ブラッドをホプキンスに引き合わせる。ブラッドは「I’ve got to Sing a Torch Song」を唄って、ホプキンスはブラッドを作曲家に起用することに決めるが、公演資金が足りない。するとブラッドが、ポリーを主役に起用してくれるなら、その資金を用立てると言い出す。ブラッドは、翌日正午に15000ドルの現金を調達した。トリキシーらは、ブラッドが銀行強盗ではないかと疑う。

公演初日、主役男性が腰痛で倒れる。そこでブラッドが代役に立ち、公演は大成功する。しかし観客の中にブラッドの正体を知る者がいた。翌日の新聞には、ボストンの億万長者の次男坊ブラッドがブロードウェイで主役となった記事が一面を飾った。これにはポリーたちも驚く。
ブラッドの兄ローレンスとピーボディ顧問弁護士は、ブラッドがアバズレに誘惑されていると思い込み、彼を説得するが埒が開かない。
そこで二人はポリーのアパートへ直談判をしに行く。ところがポリーはブラッドに連れ出されて不在だったので、キャロルとトリキシーが二人のお相手をする。ローレンスはキャロルをポリーと間違えてしまい、着払いの帽子を買わされる。トリキシーの帽子もまた着払いで来たので、代わりにピーボディが金を出す。その上トリキシーとキャロルは二人を「会議」と称して高級レストランに連れ出し、しこたま飲ませて結論を先送りにする。
翌日はブラッドとポリーも交えて、再び高級レストランで「会議」を行う。そのころにはキャロルにローレンスはぞっこんになっており、そのまま部屋に泊まり込んで酔い潰れてしまう・・・。

 

雑感

「ゴールド・ディガーズ」は「男をたらし込んで金をむしり取る女たち」という意味だが、ヒロインたちのグループ名でもある。

原作舞台と大きく構成が変わっているようで、前半はバック・ステージ話から舞台の成功まで描く。そして中間点でブラッドの兄(ウォーレン・ウィリアム)と弁護士(ガイ・キービー)が現れる。彼らはブラッドの結婚を邪魔しようとするが、百戦錬磨の喜劇女優トリキシー(アリーン・マクマホン)に手玉に取られ、兄がキャロル(ジョーン・ブロンデル)に愛を告白する。再び舞台に戻りブラッドやキャロルが歌ったところで幕となる。

ディック・パウェル、ジンジャー・ロジャースの歌とルビー・キーラーのタップダンスだけでもミュージカル映画として成立したはずだ。
でも当時のミュージカル映画全般は、音楽と音楽のつなぎの部分の演技が物足りなかった。
製作者ジャック・L・ワーナーは、それでは満足しなかった。ストレイト・プレイの演出をマーヴィン・ルロイ監督に託し、ミュージカル演出を振付師バスビー・バークレーに託す二重構造を映画に持ち込んで、厚みのあるミュージカル・コメディに仕立てた。そも結果、この年第二位の興行成績を上げるに至った。

バスビー・バークレーの振付は、基本的に「四十二番街」のように同心円を俯瞰するものだ。しかし蛍光塗料で縁取られたバイオリンを使った演出が、この映画で使われた。このシーンは、確か「ザッツ・エンタテイメントIII」でも引用されたと思う。
「四十二番街」よりルービー・キラーは美しく見えた。でも他の芸達者な女優と比べると、芝居の部分がかなり弱いと感じた。
ディック・パウェルの歌は、本当に上手い。しかし彼は戦後ストレート・プレイや映画監督に手を出していく。

ビリー・パーティという小人症の少年(当時9歳)が、最初のミュージカル・シーケンスで、ませた赤ん坊や少年役で登場する。彼は大人になり、有名な映画作品で助演級の活躍を見せた。(「レジェンド/光と闇の伝説」「メル・ブルックス逆転人生」など)

スタッフ

監督 マーヴィン・ルロイ
脚本 アーウィン・ゲルシー、ジェームズ・シーモア
原作 エイヴァリー・ホップウッド
製作 ロバート・ロードジャック・L・ワーナー
音楽 ハリー・ウォーレン(作曲)、アル・ダビン(作詞)
撮影 ソル・ポリート
振付監督 バスビー・バークレー
主題歌 「We’re in the Money」唄:ジンジャー・ロジャーズ

キャスト

(ゴールド・ディガーズ)
ポリー(タップダンサー):ルビー・キーラー
キャロル(悲劇女優):ジョーン・ブロンデル
トリキシー(喜劇女優):アリーン・マクマホン
フェイ(歌手):ジンジャー・ロジャース

ブラッド(作曲家):ディック・パウエル
ローレンス(ブラッドの兄):ウォーレン・ウィリアム
ピーボディ弁護士:ガイ・キビー
ホプキンス(プロデューサー):ネッド・スパークス
ませた赤ん坊:ビリー・バーティ

ネタばれ

トリキシーは寝ているローレンスをキャロルのベッドに運び、裸にする。翌朝、目覚めたローレンスは、口止め料として1万ドルの小切手を切ってトリキシーに渡す。

部屋に戻ると、ローレンスは新聞でブラッドとポリーが結婚したことを知る。さらにピーボディもトリキシイと婚約していた。ローレンスはキャロルに抗議に行くが、彼女は「自分が一万ドルとは安く見られたものね」と言って、小切手を現金化せず額縁に飾っていた。ローレンスは思わずキャロルに愛の告白をする。キャロルはそれを応諾して舞台へ向かう。
舞台ではブラッドとポリーが「The Shadow Waltz」を歌う。ローレンスがキャロルと結婚したことを報告した上で、ブラッドとポリーの結婚を祝福した後、キャロルが舞台上で戦争哀歌である「Remember My Forgotten Man」を歌い、喝采を浴びるところで終わる。

 

ゴールド・ディガーズ Gold Diggers of 1933 (1933) ワーナー・ブラザーズ製作・配給 (日本未公開)バスビー・バークレー振付作品

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