監督 : 吉田喜重
製作 : 吉田喜重 / 曽志崎信二
脚本 : 山田正弘 / 吉田喜重
撮影 : 長谷川元吉
音楽 : 一柳慧

配役:
岡田茉莉子 (伊藤野枝)
細川俊之 (大杉栄)
楠侑子(正岡逸子)○
高橋悦史 (辻潤)
稲野和子 (平賀哀鳥)
八木昌子 (堀保子)
新橋耐子(代千代子)
松枝錦治 (堺利彦)
伊井利子 (束帯永子)◎
原田大二郎 (和田究)
川辺久造 (畝間満)

現代(1969)に生きる永子は売春をして、警察に目を付けられる。
和田はそんな永子を愛しているが、彼女を抱く気にならない。
和田との対話を通して、彼女は大正五年・大杉栄刃傷事件に関わっていく。

社会主義運動が行き詰まりを見せ始めた大正五年、大杉は所有関係の基本は男女関係だとか何だかんだと理屈を付けて、恋愛に逃げ込んだ。
彼は、複数の女性を同時に愛していた。伊藤野栄正岡逸子である。彼が社会主義者であることは、そういう意味で都合が良かった。

二人は雑誌「青鞜」の編集者で先輩後輩の関係にあった。
正岡は若い伊藤に対して、強いライバル心を燃やし、自分だけの物にしようと考え、大杉を刺してしまう。
幸い、大杉は助かるが、後に関東大震災の騒動で伊藤とともに軍部・甘粕正彦に虐殺されるのだった。

学生運動が行き詰まりを見せていた昭和40年代と、社会主義運動が行き詰まった大正時代のアナロジーから、この映画は作られたのだろう。
彼らは資本主義だ共産主義だと言うが、物とのつながり以前に、人のつながり(ネットワーク)が大切なのだ。
だから人の繋がりの基本として(土地だ、資本だという以前に)恋愛を考える必要がある。
しかし、所有について、男女の考え方は根本的に違う。
男はより多く所有したがるし、女はたったひとりの男を完全に所有しなければ気が済まない。
そこで恋愛社会主義は根本的に行き詰まってくる。
赤軍派などがこの後、出てくるが、それらの破綻も予想できた。

永子役の伊井利子は殆ど裸のシーンばかり。
岡田茉莉子よりずっと存在感があったが、この映画の後あまり活躍はしなかった。
残念である。
また、この映画は全員実名を使っているため、遺族から訴訟を起こされたことでも有名。

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エロス+虐殺 1970 ATG(日本) 社会主義運動の行き詰まり

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