1964年に入ると、前年レコード大賞を受賞した「こんにちは赤ちゃん」について、東宝と日活の間で歌謡映画の競作が行われた。東宝は松林宗恵監督を起用し当の歌手である梓みちよを抜擢。相手役は田辺靖雄。歌も本人のものを使っている。
一方、日活は出遅れたのか梓は起用できなかったが、早撮りで上映時期は早かった。作曲の中村八大、作詞の永六輔を原作(歌の作曲、作詞) としてクレジットしている。主演は山内賢和泉雅子、ほかに吉永小百合、芦川いずみ、川地民夫が出演する、グランドホテル形式の超豪華ラインアップ。70分あまりの中編映画にはもったいないメンツだった。
Synopsis:
1日だけの横浜への上陸を許された商船の船員たちの群像劇。
宇田川船長の商船は横浜に寄港するが、陸上に1日の宿泊だけでまたマニラへ出発する。船員達は今日1日を楽しもうと張り切っている。
彼らが定宿にしているカモメホテルの看板娘とも子は、浜っ子で気立ても良い。実は船のコックの五郎が気になっているが、当の五郎に田舎からやって来た母親と幼馴染が駆け付ける。谷村は赤ん坊の息子が迎えてくれるが、抱いて来たのは妻ではなく幼馴染の洋子だった。通信士の三好は妻が臨月なのにわざわざ故郷から横浜まで駆けつける。
その夜、三好の妻が久しぶりに夫の顔を見られた安堵で産気付いて産婆である五郎の母が女たちに指示をして世話をしたり、谷村の息子がバーから消えたりと寝る暇もない大騒ぎ。谷村の息子は船長の娘でアナウンサーの圭子が放送で呼びかけて、何故か刑務所に入っているところを発見される。
翌日も朝からとも子は谷村の赤ちゃんを実母律子に会わせると言い、五郎と実母の経営するブティックに行くが、律子はそんな子は知らないと言う。呆れたとも子と五郎は憤慨して、洋子の元へ戻るが、その後を見つめる律子の目に涙が…。
いよいよ出航時刻だが、一向に船員は集まらない。業を煮やした船長がカモメホテルへ行くと、三好の母子ともども危険な状態だと言う。
セットとロケで俳優たちは、二、三日で撮ったのではないか?
早撮りのため、多少筋書きに無理はあるが、それより脚本に永六輔が参加してテレビドラマの要素を加えているので、展開がスピーディーだから気にならない。
吉永小百合は特別主演とクレジットされていたが、1シーンで上がりのような簡単なものでなく、セット内だが複数シーンに参加していた。しかも「寒い朝」まで歌ってくれる、「こんにちは赤ちゃん」なのに。
他にも田端義夫がクラブに出演して二曲も歌ってくれて、最後は表題曲「こんにちは赤ちゃん」を出演者で合唱する。
この辺りは、しっかりと音楽映画していた。
筆者の愛して止まない芦川いずみは未亡人の役で、妻のいる川地民夫に思慕を寄せる役。
ラストでは芦川いずみは幸せになるようだ。まずは一安心。
監督 井田探
脚色 山崎巌、才賀明
原作 永六輔 、中村八大
主演
和泉雅子:清水とも子
山内賢:西坂五郎
芦川いづみ:石田洋子
川地民夫:谷村利夫
清水将夫:宇田川
桂小金治:三好菊次
新井麗子:三好君江
藤村有弘:大野長平
久里千春:ナオミ
若水ヤエ子:大野咲江
E・H・エリック:ケニイ
杉山俊夫:小松実
吉永小百合:宇田川圭子(特別出演)
こんにちは赤ちゃん 1964 日活 中村八大と永六輔が原作?の中編映画

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