(☆)赤坂の料亭を舞台に三人の姉妹の生き方を描いたもので、由起しげ子の「赤坂の姉妹」を、八住利雄・柳沢類寿・川島雄三が共同脚色し、「夜の流れ」の川島雄三が監督した。
主演は淡島千景、新珠三千代、川口知子。共演が伊藤雄之助、フランキー堺、久慈あさみ
カラー映画で、撮影は安本淳


雑感

チェーホフの「三人姉妹」の舞台に絡めて、同様に赤坂の三姉妹の成長と別れを描く。「三人姉妹」とは真逆の生き方を選んだが、それが戦後、女性に与えられた「自由」だったのだ。
現代から見ると、姉夏生は現実主義者で、秋江は愛する男に走る恋愛至上主義者、三女の冬子は理想主義者であり、夏生の生き方に共感を覚える。女性でも地位向上を果たしたければ、どんどん起業して下さい。

原作者由起しげ子は、戦後第一回の芥川賞作家である。やがて、少女小説や中間小説を書くようになり、ベストセラー作家となった。

この映画で映画製作者協会新人賞を受賞した冬子役の川口知子は、銀座生まれで文学座の所属。映画初出演で台詞棒読みだったが、映画が進むに従ってどんどん上手くなった。ラストでは無言で休んでいる川口をずっと写している。それぐらい、重要な役回りだったわけだ。翌年チョイ役で東宝映画「東京夜話」に出たが,主にテレビドラマで活躍した。そんな中、1969年に不完全燃焼により死んでしまう。週刊誌には自分がLGBTQ+であることに悩んでいたとある。それが本当だとしても現代だったら死なずに済んだのに。


キャスト

淡島千景  鳴海夏生
新珠三千代  鳴海秋江
川口知子  鳴海冬子

伊藤雄之助  植谷喜久三
田崎潤  阿久井譲二
フランキー堺  田辺潤平
松村達雄  西長九造
三橋達也  中平萄三
久慈あさみ  赤木里枝
山岡久乃  照井せい
柳澤愼一  楠田英之
露口茂   営内義彦
蜷川幸雄  富田学
中村是好  吉川善人
菅井きん  吉川おきん
横山道代  芸者小千代
高城淳一  園田健児
中町由子  マーシャ
高山真樹  イリーナ

 


スタッフ

製作  佐藤一郎
企画  椎野英之
原作  由起しげ子
脚色  八住利雄、柳沢類寿
脚色、監督  川島雄三
撮影  安本淳
音楽  真鍋理一郎

 


あらすじ

鳴海冬子は信州からお土産の林檎を抱えて、赤坂を訪れた。頼る姉の夏生は、小さなバー「しいの実」を経営しており、次姉の秋江も共に働いている。
女給ブローカーの田辺は、夏生の色だったが、今では秋江にご執心だ。同窓会での300万円紛失事件が元で、阿久井モーターズの重役阿久井は、その女っぷりを見込んで夏生と付き合い始めた。姉に反抗がちな秋江は、田辺と同棲する。夏生は、阿久井の資金で「しいの実」の増改築を繰り返し、独立前に勤めていた料亭「照井」のマダムせいも目を見張るほどだ。

やがて・・・、大物政治家植谷が夏生に一目惚れして客になった。植谷の愛人は新劇女優の里枝だった。里枝の現在の夫中平教授は、かつて新劇俳優だった時代の夏生が愛した一だったが、里江を結婚相手に選んだことで身を引いたのだ。
冬子は学生運動に身を投じ、中平教授に恋心を抱くようになった。夏生は、店名を「まごころ」と改めた。夏生は、他の芸者に手を付けて子供を産ませた阿久井と別れ、植谷と関係を結び彼の世話になった。
中平は、デモで検挙された冬子の保証人になって警察から釈放させた。そして、夏生の許を訪れた。里江に捨てられた中平は、改めて夏生に結婚を申し込む。冬子は、二人の関係を知って夏生に怒った。
「照井」が売りに出た。女将が青山に店を出すためだ。夏生は、植谷の世話で「照井」の後を引き継ぐことになる。秋江や冬子に姉妹三人で料亭を経営しないか尋ねる。
しかし、ブラジルへ渡った田辺の後を秋江は追った。冬子は,労働運動に見た新しい理想を熱く語り、夏生に座敷からお呼びが掛かる。互いに後ろを振り向かず三者三様の道を歩んでいく。そうして赤坂の夜は更けていく。

「赤坂の姉妹」より 夜の肌 1960 東宝東京製作 東宝配給 赤坂のバーを舞台に三人姉妹を描く女性映画

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