監督ドン・シーゲル(初長編、既に短編映画でオスカー受賞経験あり)

原作 イズレイル・ザンクヴィル
配役
シドニー・グリーンストリート
ピーター・ローレ
ジョーン・ロアリング
ジョージ・クルリス

1890年のある夜、スコットランドヤードのクロッドマン警視は老女殺しで自ら逮捕したハリスをニューゲート監獄の絞首台に送った。

翌日遅く出勤すると長官に呼ばれた。そして新たな証人が現れ、あの処刑は冤罪だったことが明らかになる。クロドマンは罷免され後任は無能なバックリー警視が就く。
夜遅くクロドマンを慰めるパーティーが開かれ、 向かいの住人がクロドマンの部屋に集まって飲んでいた。
先に部屋に入って飲んでいるのは、画家のビクター (ピーターローレ)と第一の殺人事件の被害者の甥で保守派のケンドール だ。帰宅したクロドマンに続いて、労働党国会議員ラッセル がやってくるが、ケンドールを見るなり大げんか。そこで宴会はお開きになるが、家の外に出ると 歌手でケンドールの愛人ロティが痴話げんかをしていた。ビクターはまた飲みに出かけたが、ケンドールは下宿屋主人のベンソン夫人に6時に起こしてくれと言い、就寝する。

翌朝ベンソンがケンドルを起こしに行くと部屋に鍵がかかって起きてこない。慌てて向かいに住むクロドマンを呼びに行くとケンドルはナイフで殺害され、部屋は密室だった。
バクリー警視が早速自信満々で捜査に当たる。
まず死後ケンドルの部屋に忍び込んだロティを容疑者として取り調べる。
しかしベンソン夫人との三角関係が明らかになり捜査は振り出しへ戻る。
バクリーは次に国会議員のラッセルに目を向ける。
ラッセルは実はフリーダと不倫していてそのことをケンドルに知られて脅されていた。
しかも不倫故にそのことを表に出せない。
はたしてラッセル不利のまま裁判は進む。

第二の殺人(ケンドール殺し)と第一の殺人を関係付けて推理すればさほど難しくない。
映画の上でも途中で明らかなヒントを与えている。
探偵役が本当は誰かわかれば容易だろう。

ただし原作者が1891年にこのトリックをおもいついたのは天才としか言えない。
米澤穂信「愚者のエンドロール」を読めばわかるように、ビクトリア調にデビューしたコナン・ドイルには考えつかなかったトリックである。
1920年にデビューするクリスティを30年先取りしたと言える。

ドン・シーゲル監督としては長編第一作と言うことで言われたように撮影したのだろう。
後のドン・シーゲル節とはチト違う感じだった。

 

ビッグボウの殺人 1946 ワーナー

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