雑誌「LIFE」のネガ管理部に勤める、夢想家の社員がLIFEの社是や愛する同僚に後押しされ、有名写真家の失われた写真ネガを探し求める旅に出かける物語。
この映画はダニー・ケイ、ヴァージニア・メイヨ主演の1947年映画「虹を掴む男」(原題は今作と同じ)同様にジェームズ・サーバーの短編小説「虹をつかむ男」(この原題も今作と同じ, 1939)を原作とするが、出版社に勤める設定を除いて1947年の前作(巻き込まれ型のスパイ劇)とは全く異なる筋書きである。ただし前作の製作者がサミュエル・ゴールドウィンであり、今作の製作者の一人は息子のサミュエル・ゴールドウィン・Jrだった。息子は2015年に亡くなったている。
上映時の題名は「LIFE!」だけ。共同製作・監督・主演の三役をこなすのはベン・スティーラー。共演はショーン・ペン、シャーリー・マクレーン、クリステン・ウィグ。
あらすじ
雑誌LIFEでネガを管理する部門の長であるウォルターは四十二歳になってもよく白昼夢を見る。そのLIFEがオンラインで配信するになり雑誌としての役割を終えることになった。
LIFEの最終号の表紙を大物写真家ショーンの写真で飾ることが決定される。ショーンはウォルターにネガを送り25番目のネガを使うよう指示し、永年の労いにLIFEのモットーを刻み込んだ財布を贈る。
ウォルターがネガを調べると25番だけ無かった。肝心のショーンは写真撮影で世界ツアーに出発した後だ。片想いの相手であるシェリルに相談すると、ショーンはグリーンランドにいると教えてくれる。デスクワークを長年続けてきたウォルターはグリーンランドまで思い切って飛んだが、海にハマって溺れたり散々苦労してやっとショーンを知る人に出会うと、彼は既に火山の国アイスランドへ発った後だと言う。
アイスランドでは噴火煙に巻き込まれ火山灰に塗れてしまい、シェーンに会えずじまい。シェリルの息子にスケボーを土産に買ってアメリカに帰った。既にシェリルは会社から解雇されて、ウォルターもネガを失った責任を取らされて解雇される。土産を渡そうとシェリルの家を訪れると男が出てきた。彼女の元夫だと直観したウォルターは玄関横に土産を置いて帰る。きっとよりが戻ったんだ。自宅へ戻ると、悔しくてショーンからもらった財布も捨てた。
しかしウォルターは解雇された後も最後の仕事をやり遂げたかった。ウォルターはショーンを追ってアフガニンからヒマラヤへと渡り歩き、ようやくショーンに会えた。しかしショーンは財布の中に25番のネガを入れておいたと言う。ウォルターは財布を捨てたことを後悔するが、ウォルターの母は捨てた財布を拾っていた。おかげで無事ネガを上司に渡すことができた。
退職金をもらいに行くと、シェリルとばったり会う。彼女は前回会ったのはシェリルの元夫で冷蔵庫の修理をしてもらっていただけと言う。創刊されたLIFEの最終号が店頭に並んであり、表紙にはネガを日にかざしてチェックしているウォルターの姿が写っていた。いつの間にか二人は手を繋いでいた。
雑感
To see the world, things dangerous to come to, to see behind walls, to draw closer, to find each other and to feel. That is the purpose of life.
世界とやって来る危険を見よ、壁の向こう側を見よ、もっと近づいて、お互いを知れ、そして感じ取れ。それが人生の目的だ。
これは劇中でも効果的に現れる言葉で、ジャーナリスティックなLIFE誌のスローガンのように思われているが、実は原作のタイトルロールであるウォルター・ミッティーのセリフであり即ち原作者ジェームズ・サーバーの名言(Quote)だ。LIFE誌のモットーは「To see the Life; to see the world」であり、モットーの後にサーバーの言葉をつなぐことができる。
雑誌LIFEは日本でも知られたジャーナリスティックな写真誌だったが、2007年に惜しまれつつ廃刊となった。
これは日本で言えば「アサヒグラフ」のようなものだ。決して「FRIDAY」のような覗き身趣味の雑誌ではない。
映画の内容は1947年の二番煎じかと思っていたから良い意味で裏切られた。最も主人公が白昼夢を見るという設定は中盤からどこかに行ってしまった。
最後に見つけた25番目のネガを現像した写真は自然写真と違い平凡だが、同時にドキッとさせられる。
なおスチュアート・ドライバーグ(「ピアノレッスン」など)の映像があまりに壮大かつ美麗なので、映画館で見る方が良い。
スタッフ
監督 ベン・スティラー
原作 ジェームズ・サーバー
原案 スティーヴ・コンラッド
脚本 スティーヴ・コンラッド
製作 サミュエル・ゴールドウィン・ジュニア 、 ジョン・ゴールドウィン 、 スチュアート・コーンフェルド 、 ベン・スティラー
製作総指揮 ゴア・ヴァービンスキー 、 メイヤー・ゴットリーブ 、 G・マック・ブラウン
撮影監督 スチュアート・ドライバーグ
音楽 セオドア・シャピロ
キャスト
ウォルター・ミティ ベン・スティラー
ショーン・オコンネル ショーン・ペン
シェリル・メルホフ クリステン・ウィグ
エドナ・ミティ シャーリー・マクレーン
テッド・ヘンドリックス アダム・スコット
トッド・マハール パットン・オズワルト
オデッサ・ミティ キャスリン・ハーン