邦題はずいぶん扇情的だが、内容は決してエロチックなものではなく、誰の心にもぐさっと刺さる戦争の傷跡を描いた日仏合作映画。1959年度カンヌ国際映画祭国際映画批評家連盟賞と1960年度ニューヨーク映画批評家協会賞外国語映画賞受賞。

 

8月6日、広島に落ちた原爆の映画撮影にやって来たフランス人女性とたまたま日本人建築家が出会い、行きずりの恋に身を焦がす。女は男に原爆の悲惨さについて尋ねる。それまでに見た原爆の資料で彼女は広島のことをわかっているつもりだった。しかし親兄弟を全員原爆で失っていた男は、彼女が何もわかっていないと答える。
やがて今度は男が戦時中の思い出を女に尋ねる。広島の悲劇に触発されて、女はまるでかつての恋人と話しているように語りはじめる。彼女は戦時中ドイツ軍兵士と恋をしていたが、目前で彼を殺されたあと、隣人たちにより頭を丸刈りにされ地下牢に閉じ込められ幽閉生活を送っていた。彼女はそういった事実を夫や子供に告げていなかった。

 

戦争の悲劇は理解できるものではなく体験せざるをえないものだ。そして体験者の言葉が他人に伝わるかどうかわからない。自分の持っている実体験とつなげるしか出来ない。また実際に体験したとしても忘れた方が良いこともある。

 

ヴィエルニのカメラは冷静に、復興した広島と原爆の残した禍根を映し、戦争の悲劇を伝える。しかし原爆による被害とナチス支援者に対する迫害を同列に論じるのは日本人として物足りなさが残る。日本には原爆病で当時も苦しんで死んでいった人たちが大勢いたからだ。

 

エマニュエル・リヴァは当時32歳とやや年増だが、思っていたより美肌美人だった。岡田英次が離したくないとご執心だったのは理解できる。
岡田英次もフランス語の発音を何とかこなしていた。日本人でもこの程度に発音できればフランス人に通じると自信が付いた。長い文章を避けて短文中心の会話を心がけよう。

 

監督 アラン・レネ
脚本 マルグリット・デュラス
製作 サミー・アルフォン、アナトール・ドーマン
撮影 サッシャ・ヴィエルニ
出演者
エマニュエル・リヴァ
岡田英次

24時間の情事 1959 フランス+大映

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